この道の先に…
もうすぐ3学期。このままではダメだと思うようになってはいたけれど、頑張る気にはなれなかった。
           
ただ、みんなからメールがくれば返信をし、電話がくれば出るようになっていた。
少しずつだけれど変化はあった。
           
今日は始業式。この日も梨紗は部屋にいた。
           
沈んだ気持ちの梨紗の目に、棚の上にある綺麗にラッピングされた箱が映った。
           
7月のうちに買って準備しておいたプレゼント。
           
渡すことのできなかった幸輝の誕生日プレゼント。
           
その包みを開けた。
           
前に一緒に買い物してた時に、こんなかんじのが欲しいと言っていた腕時計。
           
箱から取り出して眺めてみる。5カ月以上も誰の腕に付けられることなく箱の中で時を刻んでいた腕時計。       
           
秒針の動きをしばらく見ていた。
正確に、そして確実に動いている。
           
梨紗は思った。
私がどんなに泣いても落ち込んでも、幸輝にはもう関係ないことなんだ。
幸輝は普通の毎日を送っている。
幸輝の時間はちゃんと流れてる。
私だけが今の場所で立ち止まったまま取り残されていくなんて…なんだか悔しい。
           
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