この道の先に…
花火大会当日。    
           
梨紗は、壁にかけてある浴衣を見ていた。   
           
「そろそろ着る?」  
           
お母さんが部屋に顔を出した。自分で着ることができないから頼んでおいたのだ。       
           
「お母さん ごめん!」
           
梨紗は、絵里にメールを送って、着替えて家を出た。         
           
浴衣ではなく、制服を着て――――      
           
絵里は、お母さんに浴衣を着せてもらいながら、梨紗からのメールを見ていた。そして、フッと笑ってケータイを閉じた。
           
幸輝達バスケ部は、他校との合同練習をしている。練習試合を始める前に、30分の休憩をとっていた。        
           
それぞれが体育館に座り込み、休んでいた。  
           
その時、体育館のドアが『ギィー』という音を立てて開いた。     
           
みんながドアの方を見た。          
そこに立っていたのは、制服姿の梨紗だった。
< 61 / 200 >

この作品をシェア

pagetop