この道の先に…
幸輝は梨紗のところに駆け寄った。      
           
「応援に来ちゃった!」

「来ちゃったって…なんで!?」       

「こっちに来たかったの」          

「…だって、花火は?」

「どこで見てればいいの?あっ!上のギャラリーかぁ。どこから上がればいいのかな…」    

梨紗は、幸輝の問い掛けに答えないで歩きだした。

「梨紗ちゃん!!」  

話しを聞けとばかりに、幸輝は梨紗の名前を呼んだ。その声を聞いて、梨紗は足を止めた。   
           
「会いたかったから」 

振り返ってそう言った梨紗の真剣な顔が、あまりにも綺麗だったから、幸輝はそれ以上何も言えなかった。       
           
上のギャラリーには、そこの学校の女子生徒が何人かいた。梨紗もそこから下を見下ろして、笑顔で幸輝に手を振った。 
           
「絶対に勝たないとっスね」

拓也が幸輝に声をかけた。

毎年行っている花火大会。もちろん今年も行きたかったけど、梨紗は幸輝のいる場所を選んだ。
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