この道の先に…

夏休みの思い出

カレンダーは8月になっていた。       
           
梨紗は充実した毎日を過ごしている。     
           
バイトも順調にこなしていて、晴美達と遊ぶ時間も充分にあった。   
           
幸輝のことは、あの夜以来、『幸輝くん』と呼ぶようになっていた。  

相変わらず、部活ばっかりだったけれど、朝から夜まであるわけじゃないから、会える時間がけっこうあったのだ。   
           
ご飯を食べに行ったり、部活の帰りに公園で会ったり…。       
           
8月12日は幸輝の誕生日で、梨紗は初めて家に遊びに行くことになっていた。        
           
映画を見てからケーキを買って、家に向かった。

梨紗の地元の駅から2つ先の駅で降りて、歩いて10分くらいの所の団地に、幸輝は両親と弟の4人で住んでいる。   

家に着くと、出かけるところだったらしく、弟が玄関にいた。     

幸輝の2コ下。梨紗の1コ下の健司くんという弟は、目元が幸輝とよく似た感じの子だった。
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