この道の先に…
梨紗は足を止めた。  
           
「先輩のとこ行きたいんだろ?」       

「え…別に…」    

全てを見透かされているよな気がして、梨紗は良平から目をそらした。 

少し離れた所で、晴美と絵里と拓也が、次はカラオケに行こうかと話していた。        

「俺らといても、全然楽しそうじゃねぇし。先輩のこと考えてんだろ?」
           
梨紗は無言でうつむいている。        
顔を上げると、    

「ほら、早く行けよ」 
           
そう言いながら、シッシッとやるように良平は手をブラブラと振っている。

梨紗は決めた。    

「良平。ありがと…」 

良平に背中を向けて歩き出した。

「あれぇ?梨紗は?」

1人でみんなの所にいった良平に、絵里が聞いた。

「先輩のとこ行くって」

「そっか…」

良平の言葉を聞いて、3人はつぶやいた。
一番穏やかな表情をしていたのは、晴美だった。
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