この道の先に…
団地に着いて、呼び鈴を鳴らした。      

ドアを開けたのは健司くんだった。      

「幸輝くん…いる?」 
           
梨紗は、ハァハァと乱れた息を整えながら聞いた。

「部屋にいるけど…」 

その言葉を聞き終わる前に、梨紗は家に上がり、幸輝の部屋に一直線に向かい、ドアを開けた。 
           
幸輝はベットに寄り掛かってバスケの雑誌を見ていた。        

そこに突然現れた梨紗の姿を見て、当然だが驚いていた。       

久しぶりに幸輝を見て、足の力が抜けた梨紗は、部屋を入ってすぐの所にしゃがみ込んだ。   

「幸輝くん…私…」  

言葉が続かない。   

幸輝も梨紗の前に来て、しゃがんだ。     

いざ来てみると、何から話せばいいのか…。
でも、これだけはきちんと言わないと……
目の前にいる幸輝の目を真っ直ぐに見た。

「幸輝くんが好き…」

その言葉を聞いて、幸輝は梨紗を抱きしめた。
そしてそのままキスをした。長く、深く……。

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