この道の先に…

宝物

それから、2人の間を流れる空気が明らかに変わった。        
           
お互いに想いあっている。          
           
それがハッキリと見てとれる、そんな感じだった。
           
10月5日。この日は梨紗の誕生日だった。
運良くバスケ部は、早く終わる日だったから、梨紗は終わるのを待っていた。         
           
最近新しくできたケーキ屋で、ケーキを買って梨紗の家に行った。   
           
家の前まで送ってもらったことは何回もあるけど、幸輝が梨紗の部屋に入るのはこの日で2回目だった。        
           
「2回目でも緊張する」
           
「ぇえ〜なんでぇ?」 
           
梨紗は、彼氏に誕生日を祝ってもらうことが初めてだったから、なんだか恥ずかしいような照れるような、でもすごく嬉しい。ムズムズするような初めて味わう気持ちだった。         
           
2人は、買ってきたケーキでお祝いしたあと、ソファーに並んで座って話しを始めた。

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