君とともにこの傷を
「まじか!これ、大切なハンカチだったんだ。拾ってくれてありがとう。」
そう言って、私に笑顔をみせた。
それと同時に電車は駅に停車した。
私は彼に小さくペコリとお辞儀をして電車を降りようとした。
その瞬間、かすかに彼が言った。
「ばいばい…」
冷たい冬風と共に彼の言葉が私に届いた。びっくりした。
私はもう一度彼に笑顔をむけ、小さく手をふった。
そして電車を見送った。
そのまま改札口をぬけて何もない通学路を歩く。