ただ君だけを。
わからない。
「おばさん、ごめんね。今日ちょっと体調
悪くって、だからせっかく久々の晩御飯な
んだけど今日は、パスするね。」
『あらぁ。それは大変!ちゃんとゆっくり
寝て早く元気になってちょうだいね。残念
だけど、また今度晩御飯一緒に食べましょ。』
おばさんとの電話をきり、大きなため息をつく。
「ごめんね、おばさん。」
誰にも聞こえないような、消え入る声で
呟いてみる。
――――♪
「誰…?」
携帯に表示されている名前を確認する。
『柴崎 優』
優だ。
いいや、無視しよ。
私は、携帯を手に取り電源を切った。