ハイドアンドシーク・ラブ
「あっ、秋せんぱーい」



タッタッと駆けてきたのは着替えた泉ちゃん。


遥南先輩への返事とは打って変わって甘えた声で話している。




それを尻目に、私と遥南先輩はネットを張りに行く。






「泉もネット張って来ないと駄目だろ」




そんな風に叱られてる声を聞いて、口許が自然と緩む。





「もっとアタックすればいいのに。泉ちゃんに負けないでよ、みっつ」


「うぇ!?なんで知って、あ、いや、なんでも」


「墓穴掘りましたねー、見てりゃ分かるよ」


「そんなにですか!?」




「きっと私しか気付いてないよ」なんて悪戯気に笑う先輩に、一言。




「ならお手本見せて下さいよ。もちろん、遥斗先輩で、ね」

「そっ、それは言わない約束!」



遥南先輩は、男バレキャプテンの菊池遥斗(きくちはると)先輩が好きらしい。


頬を赤く染めて否定する。


そんな先輩は、まさに恋する乙女。





「全員集合!!!」





部活開始の時間になったのか、たまにしか来ない監督が声を張り上げる。

去年から変わった男女バレー部監督は、特にスパルタ指導をする訳でもなく、まず部活に来ない日が多い。


3年の学年主任だから?






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