Winter Sinter
09.Call
プルルル…プルルル…
ガチャッ
「はい、もしもし」
「あ、マリアです。リリアさんお疲れ様です」
「ああ、お疲れ、どうした?」
「あの、明後日のLIVE…関係者席の空きありますか?良ければ友達を招待したいんですが…」
「ああ、あの件ね。いいよ、俺が言ったことだし、丁度まだ4席くらい余ってたから3人でおいでよ。パパさんの分もあるぞ」
「パパは仕事があるみたいなので、3人で行きます。有り難うございます」
「構わないよ。それと、そろそろ雪が降るから、暖かくしてこいよ」
「はい!……あの、リリアさん…」
「ん?どうした?」
「あ………なんでもないです………」
電話越しのリリアさんの声
いつもよりワントーン高くなる、優しい声
なんだかくすぐったい感じで、甘えたくなる
その拍子に突拍子もない事を言いそうになってしまう
「……………………あのさ、次の休日、予定ある?」
「…え?」
「んー、いや、バラードの曲さ、やっぱり俺は書けないんだけど、こうして欲しいっていうイメージがあって…そのイメージに合う場所を見つけたんだ。良かったら一緒に行ってみない?」
「いいんですか?!」
「いいも何も、連れていきたいんだ。マリアを。嫌かな?」
「嫌じゃないです!行きたい!」
「じゃあ決まり。重く考えないで。ま、デート…くらいに思っておいてよ」
「えっ…」
「まーまーおっさんにこれ以上言わせんなw休日の話は明後日のLIVE後にまた話すから!じゃあ、もう用事は大丈夫か?」
「だっ、大丈夫ですっ!ありがとうございます!お、おやすみなさい!」
「うん、おやすみ」
…デート?
でも確かにミーティングでカフェとか事務所以外で会うのは初めてかもしれない
「マリア?」
「ん?えっ、なにパパ?」
「お風呂空いたよ。顔赤いけど、具合悪いのか?」
「え…あ、あぁ…ちょっと具合悪い…のかな?」
「早く風呂入って寝るんだぞ、おやすみ」
「おやすみなさい、パパ…」
熱い
体が熱い
心臓がドクドクしてる
リリアさんの顔を、声を思い出して
何故だかとても切ない気持ちになる
あ
私やっぱりリリアさんの事が好きなんだ…