Winter Sinter
06.Lilia

「友達できたの、よかったじゃないの」

「歌詞を書いてることもバレてしまったんですが、絶対誰にも言わないって…」

リリアさんと、駅まで帰り道が一緒だった
リリアさんは常に車移動だからこうして2人で歩くのも、なんだか久しぶりな気がする


「2人ともMariaのファンみたいですよ」

「まじか〜じゃぁ今度LIVE招待するよ」

「本当ですか!絶対喜ぶと思います!そういえば私初めて男の子のファン見たかも」

「え?なに男の子もいるの?」

「え、えぇ、まぁ…」

「そうか〜…そーかそーか!ま、気をつけなさいよ」

「?気をつけるって、何にですか?」

「ん、まぁ、色々と…でも大丈夫でしょ。今日できた友達でも、これからずっと大事にしなさいよ」

「リリアさんに言われなくても、大事にしますよ!…Mariaと同じくらい…」

「今日のマリアはなんか面白いなw…あ、じゃあ俺こっちの電車だから。次のミーティングはまた後で連絡するよ」

「はい!わかりました。お気をつけて」

「お前も帰り道気をつけろよ。じゃあ、お疲れ様」

「お疲れ様でした!」









電車の窓から見える都会の夜景
人口的な光でも集まればこんなにも綺麗に見える
悲しいくらいに



わかっている
リリアさんが私の事を気にかけていることを…
私も、2人きりのミーティングを何度も重ね、プライベートな会話をする度にどんどん惹かれていって
大きな声で「大好き」とは言えなくても他のメンバーより好意を抱いている事は自分でもわかっている

だけど


この恋が叶わないのは
2人ともわかっている
メンバーとは言え普通の女子校生とメジャーのバンドマン
隠し通せる自信だってない
それならば今の関係で、満足できる
何も自分達から関係を壊しに行くことはない

こうやって、ミーティングで会って
たまに他愛もない話をして

私達にはこれくらいが丁度いい…





「次は○○駅〜○○駅〜」




(降りなきゃ)





今日の嬉しい出来事と
リリアさんとの想いが交差する
複雑な気持ちのまま、家に着いた




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