Winter Sinter
07.Home
「ただいま…」
家には誰もいない
パパはきっとまだ仕事中
ママは私が小さい頃に自殺した
あまりよくは覚えていないけど
私にはお姉ちゃんがいて、病気で亡くなった時に周りの人に色々と言われ、ママはノイローゼになり自殺してしまったらしい
昔の話なので、ママの話をされても悲しい気持ちにはならないし、特別会いたいとも思わない
パパは仕事が忙しく中々帰ってこないけど
家にいる時はご飯を作ってくれたりプレゼントを買ってくれたり、Mariaの話を嬉しそうに聞いてくれる
ガチャッ
「ただいま!いや〜会議が長引いたよ…」
「パパ!おかえりなさい」
「マリアも今帰ったのかい?お帰り。今日はミーティング?」
「うん、新曲の話し合いとか色々…」
「そうかそうか。大変だなぁ…来月発売だろう?パパもう予約したよ」
「そんなの、メンバーに言えば1枚タダでもらえるのに…」
「1枚と言えど、彼らはそれが収入源になるだろう。パパはマリアが携わってるからとかじゃなく、純粋に彼らを応援したいんだよ。一ファンとしてね」
「…リリアさんたちが聞いたら喜ぶよ!」
「パパも嬉しいよ。仕事前に曲を聴くと頑張ろうって思えるよ」
「私も一緒だよ!…あ、ごめんね、今からご飯作るから少し待っててね」
「あぁ、ありがとう」
パパとはとても仲がいい
私はこの生活に満足している
パパがいて、Mariaがあって、友達ができて…
これ以上の幸せは無い
この幸せだけは、崩したくない
リリアさんへの想いも
私がMariaの歌詞を書いてることも
ばれてしまったら少なからず支障が出るだろう
それなら秘密にして箱に閉じ込めて
しまっておけばいい
鍵をかけて
誰にも開けられないように