HATSUKOI~先生が教えてくれたこと~



あたしたちの間には暫く無言の空気だけが流れていた




車のエンジン音が響く車内







あたしは必死で頭の中を整理しようとしたが考えても考えても複雑のまま





すると先生が急に車を停めた





『うそ♪もしかして信じちゃったのかなぁ~?彼女が死んだなんて嘘だよ~彼女がいないのは本当だけどな!』





先生はニッと笑ってあたしの頭を小突いた











うそ





それが嘘だよ





わかるもん





さっきの辛そうな顔は演技じゃない








『先生』


『ん?』


『男の人だって辛いときは泣いていいんだよ?カッコ付けて無理して笑わないでよ…先生の顔みたらわかるんだから』





あたしは真っすぐ先生を見た




ありきたりな言葉かもしれない





でも本当にそう思った






『倉田…なに言ってんだ…?』


先生の声は次第に弱々しくなっていく





『先生…壊れちゃいそうだよ…?我慢しなくていいんだよ?』




ほんとに先生はギリギリな感じがしたんだ



たった一本の細い糸で保っているような



そんな風に見えた



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