HATSUKOI~先生が教えてくれたこと~
特効薬
ゴホッゴホッ
教室に響き渡る苦しそうな声
『高先どしたの?花粉症?』
ある男子生徒が教卓に立つ先生に尋ねた
『ケホッ…あほか。花粉症は咳じゃなくてクシャミだろが…ゴホッ…風邪だ風邪!』
咳とは裏腹に元気そうに見える先生を見てクラスのみんなは安心している
今までのあたしならみんなと同じように安心しただろう
でも今は違った
『よし!』
意気込むあたしの手には風邪薬が握られている
そしてインターホンに手を伸ばした
そう。ここは先生の家
一人暮らしのマンション
なぜ家を知ってるかって?
部活の名簿に載っていたからだ
最近は個人情報かなにかで載っていないかもと心配したが先生の住所はかろうじて載っていたのだ