HATSUKOI~先生が教えてくれたこと~



あたしこんなにも速く走れたっけ?そんな風に思うほど足が軽かった







『はぁはぁ…』



渡り廊下から桜の木を見つめたが人の気配はなかった







『ふぅ…いないよね…』


『誰が?』





え!?








人の気配のなかった桜の木から声が聞こえた






桜の木の精?!いや…まさかねぇ~







そんな葛藤をしながら桜の木に近づいてみると木の下に先生が座っていた







『わっ!先生!いたんですか?!』





あたしは慌てて先生に駆け寄った





『ずっといたよ。お前だれかと待ち合わせ?』


『え?なんでですか?』


『だって…いないとか言ってたじゃん』





それは先生のことです!なんて言えるわけないよね…





『邪魔だった?俺どっか行こうか?』



『いいいいいいや!違いますから!だからいてください!』





それを聞いた先生はフッと笑った




『お前おもしろいのな~!見てて飽きないよ』




ねぇ先生





先生は馬鹿にして言ったつもりかもしれないけど





あたしには最高の褒め言葉だよ?





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