零姫
そして、男は顔を近づけてくる。
だからあたしは、逆上がりをする要領で男の急所を蹴り上げた。

「っ~~~~~~!!!!!」

声にならない声をあげる男の肝臓辺りを横蹴りして、あたしは自由の身に。

「ほんと馬鹿。押し倒せば自分の勝ちだとでも思った?」

「おいっ、テメエら!ぼけっとしてないでさっさとそいつを捕まえろっ!!」

「「は、はいっっっ。」」

周りを囲まれ逃げ場を失ったあたしは、頭をひねって考える。

「もう逃がさねえ。」

その時、ガッシャンという何かが壊れた音と、数人の足音が聞こえた。

「女の子に乱暴は許せないな。そこの女の子大丈夫?」
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