きっと、好き。
きっと、好き?
愛が私にはよくわからない。
何かを、誰かを、
愛することが。
私は誰かを、何かを、
愛することができるのだろうか?
きっと私の感情は他人よりも欠如していると思う。
そんな私と一緒にいて
彼は楽しいのだろうか?
ふと、そんなことを思い、向かいで今しがた私が作ったご飯を"おいしいおいしい"と食べる彼を私は見た。
視線に気づいたのか、彼は"どうしたの?"っと
言うように微笑んで首を傾げた。
「.......ねぇ」
私がそう言えば、彼は
『なぁに?』
とニコニコと返事をする。
「......なんで私と一緒にいるの?」
私がそう問えば
『そんなの俺が一緒にいたいからだよ 』
さも、当たり前のようにそう言う彼。
***********
*****************
ご飯が終わり、お風呂をでた私はベランダにいた。
空を見上げれば無数の星が瞬いている。
『風邪引くよ。』
そう言ってお風呂から出たばかりの彼は、
私の背に自身のパーカーをかけると、私の横に立った。
それから、何かを言うでもなく、
ただ、二人で空を見上げていた。
それだけのことなのに、この状況が、
私の隣に当たり前のように彼がいる。
そんなことが、堪らなく......
「......ねぇ、ひとつお願いしてもいい?」
『...何かな?』
そう言って、相変わらずの笑顔で私を見る彼。
「.....あの...」
『キミの願うことなら何だって聞くよ。』
「....え」
私は戸惑うことしかできなかった。
理由は、目の前にいる彼。
どんな時も私には、
ニコニコと笑顔な彼の真剣な表情。
『.......けど、別れ話以外ならね?』
そう言ってフッと笑った彼はまた、
目線を空へと戻し、いつものように微笑む。
「......私ね....」
彼は軽く頷き、私の話に耳を傾ける。
「.....私はね、きっとおかしいの。壊れてるの...」
そう私が言えば、彼は静かに私の方へと身体を向けた。
『..どうして?』
そう優しく問う彼。
「.....私は、きっとね、誰も、何も.......愛せないの。」
『..うん』
「....きっと、あなたのこともっ...」
『..うん』
「.............愛せない...」
『..うん』
私はこんなにも、ひどいことを言っているのに、
それでも彼は、相変わらずの笑顔で私を見ていた。
そんな彼を見た私は、
なぜだか、とても、泣きたくなった。
「私は誰かを愛せるかな?」
そんな思わず出た、私の問い掛けに
彼は、答えになっていないことを言う。
『俺はキミを愛してるよ。』
そう言って、私の手を握り、
この星の瞬く暗闇の中で
彼は眩しいくらいに笑った。
そんな彼を見て、あまり遠くない未来で
私も、きっと、彼に言える気がした。
" 私もあなたを愛してるよ。 " と
*end*