緑の指を持つ君と

「あなたといることで幸せになれることを、すっとあなたに伝えたかった。あなたが僕を見てくれる視線に込められている愛情の何分のいちかでも、あなたに返していきたい。あなたがそこにいて、見つめ合っているだけで僕がどれだけ幸せになれるのか知っていて欲しい」

そっとふれた指を絡めて、眩しそうに目を細める。

「どんなたわいない小さな命の話でも、あなたに話すとどれもが奇跡のように輝いて見えます。あなたの瞳に映る世界がとても澄んで輝いているように、この世界に存在する全てがとても愛おしくなります………

それはきっとあなたがいるからなんです」


手を引かれて胸の中におさまりながら、そっと瀬名さんの香りを吸いこむ。瀬名さんは、森の香りがする。爽やかで優しくて、しなやかな強さがある。


「それならきっと、わたしは瀬名さんに会うためにここに生まれてきたんですね」


くふっと漏らした笑いがふたりの胸の間を満たす。


「きっと僕があなたを探してここに来たんでしょう。あなたはとても自由だから」
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