女王様の恋
冷静に見つめ返すアタシに桐真はなおも続ける。
「やっぱり、美桜チャンみたいなイイ女の子を見ると、何か見返りを望んじゃうんだよね。」
くぉ〜、本当に正直にものを言うヤツだ!!
「まぁ…考えてもいいけど?」
「じゃぁ、交渉成立!!なんでも好きなの買っていいよ。」
アタシの返事におバカな爽真と一緒のどこか幼いような、可愛い笑顔をした。
う、わ…
これは、学校の女の子たちが騒ぐだけはある。
アタシでも、この笑顔はドキッとしてしまったくらいだ。
「え〜っ?!桐真だけズルい〜っ!!俺とも遊ぼうよ!!」
「爽真は何もしてないだろっ!!文句言うなよ。」
小さな子供みたいに、駄々をこねる爽真。
…アタシは自分のわがままは許せるけど、人のわがままは許せない典型的なお嬢様性格。
「駄々をこねるんじゃないっ!!何もしていないヤツにご褒美があると思うなっ!!」
アタシの怒鳴り声に、爽真はピタッと駄々をこねるのを止めた。
「す、スミマセン…。」
ついでに謝った。
「それでよろしい。」
誉められた爽真は、それだけのことで犬だったらしっぽを振るみたいに喜んだ。
爽真はこの動物的なところが、女の子の母性本能をくすぐりモテるのか…なるほど。
そんなことを考えていたら、それまで黙っていた優が口を開いた。
「つーか、お前等…実の兄が目の前にいるのにそんな話をするんじやない。」