女王様の恋



冷静に見つめ返すアタシに桐真はなおも続ける。



「やっぱり、美桜チャンみたいなイイ女の子を見ると、何か見返りを望んじゃうんだよね。」




くぉ〜、本当に正直にものを言うヤツだ!!




「まぁ…考えてもいいけど?」



「じゃぁ、交渉成立!!なんでも好きなの買っていいよ。」



アタシの返事におバカな爽真と一緒のどこか幼いような、可愛い笑顔をした。



う、わ…



これは、学校の女の子たちが騒ぐだけはある。



アタシでも、この笑顔はドキッとしてしまったくらいだ。



「え〜っ?!桐真だけズルい〜っ!!俺とも遊ぼうよ!!」


「爽真は何もしてないだろっ!!文句言うなよ。」




小さな子供みたいに、駄々をこねる爽真。




…アタシは自分のわがままは許せるけど、人のわがままは許せない典型的なお嬢様性格。




「駄々をこねるんじゃないっ!!何もしていないヤツにご褒美があると思うなっ!!」



アタシの怒鳴り声に、爽真はピタッと駄々をこねるのを止めた。



「す、スミマセン…。」



ついでに謝った。



「それでよろしい。」




誉められた爽真は、それだけのことで犬だったらしっぽを振るみたいに喜んだ。


爽真はこの動物的なところが、女の子の母性本能をくすぐりモテるのか…なるほど。



そんなことを考えていたら、それまで黙っていた優が口を開いた。



「つーか、お前等…実の兄が目の前にいるのにそんな話をするんじやない。」
< 16 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop