女王様の恋
ホテルに入ってどれくらいの時間が経っただろうか?
アタシはまだ桐真の腕の中にいた。
大きな窓の外は完璧に夜の世界に支配されていた。
そしてある重要なことを思い出した。
「ねぇ、桐真?」
「ん?」
「ここのお金出せるの?かなりの金額だと思うけど…」
「あ〜、俺顔パスなの。」
「…は?」
意味が分からない。
「ここじいちゃんのホテルだからさ。」
マジで?
「それに俺、売れっ子モデルだから金持ちなのよ。美桜には及ばないけどね。」
モデル?!
売れっ子なの?!
女の子からキャーキャー騒がれている姿を思い浮かべた。
「…ムカつく!!桐真なんか大嫌い!!」
暫く口聞いてあげないんだから!!
ムカつくのは本当だけど、大嫌いは嘘だよ?
桐真には絶対言わないけど。
大好きだから。
これくらいの嫉妬は許してよね。
END