ともだちからの卒業
「ゆあちゃーーんっ」
恐怖の声が近づいてくる。
奈美は、転入生に話しかけた。
「あ、ありがとう。よろしく。」
照れたような感じで転入生は答えた。
「あたし奈美!」「華絵ー!」「わたしは茉子」
わたしの知ってるみんなとはまるで違う態度で挨拶した。
トイレに行こうと思った。ここから抜け出したいと思った。…入ってもいないけど。
立ち上がったら、誰かがわたしの手を掴んだ。
「まっ……て」
転入生。
「え?」
「あの、あたし、あなたと話してみたいんだ」
何を言っているんだ。わたしさっきすっごい愛想悪かったやつだよ?なんでそんなに
優しくしてくれるの。
「あの…えっと」
奈美たちの視線が怖い。
ナイフのような痛い視線がわたしの体いっぱいに突き刺さる。
ガンっっ
奈美は近くにあったイスを蹴った。
転入生の目線がそっちに向くと、
少し笑って言った。
「その子、人と関わるの嫌いらしいよ~。だから、さ、あたしたちといようよ♪」
「ね?」
「だよね?ね?悠」
3人がわたしに冷たい言葉を待つ。
逆らう勇気なんて…ない
2年間もの間ずっと言いなりだったんだから
「そう…話しかけないで」
「え……」
転入生はそうやって冷たい態度をしたわたしを心配したような目で見てきた。
いろんなことを、きづかれないようにわたしは廊下に出た。