シャッターの向こう側。
イベント……もしくは会話
******
夜間のライトには虫が集まる。
野外に設置されるスポットライトって、近くに寄ったらかなり高熱なんだけど虫が寄る寄る。
それをポケ~っと眺めていたら、スパンと頭を叩かれた。
「お前は邪魔しに来たのか? 下見に来たのか?」
振り返ると、不機嫌そうな宇津木さん。
そして、台車に機材を置いて愛想笑いのスタッフさん。
「あ。すみません。通路占領しました」
そそくさと避けると、宇津木さんに襟を掴まれてステージから下ろされる。
いや……だから、私はネコじゃない。
「お前はこっちから眺めてろ」
ステージ前の芝生に離された。
「あまりウロチョロするなよ?」
そう言って溜め息をつきつつ、向こう側にいるスタッフさんの集まりに混ざりに行った。
それをボンヤリ眺め、頭をかく。
……まぁ、いいんだけどね。
下見用に持ってきたデシカメを弄りながら、近くにあった鉄柵に腰をかけた。
Kミュージック主催のロックフェスティバル。
うちの会社は、去年の暮れ辺りからイベンターとして参加してるらしい。
イベンタト自体は他の部署が受け持っているけど、うちは当日のPRとパンフ、それから来年に向けて私は写真撮り。
その一部に参加。
T市のヤツよりは確かに責任は分散するけれど、アマチュアバンドの他にも有名ミュージシャンがたくさん。
大きな仕事には間違いないよね~。
間違いないんだけど。
……なんか、気分が乗らない。
「うー……」
「何を唸ってるんだ、お前は」
「うひゃぁああ!!」
思わずデジカメを落としそうになって手の上でお手玉する。
必死になって胸に抱き込み、キッと後ろを振り向いた。
「何でいっつも気配を消して近づいて来るんですか!!」
宇津木さんの呆れ顔が、不機嫌にすり替わる。
「別に黙って近づいてない。きちんと呼んでから近づいて来てる」
おやぁ?
「前にも言っただろうが。お前は呼んでも中々気付かない」
「それは……すみません」
夜間のライトには虫が集まる。
野外に設置されるスポットライトって、近くに寄ったらかなり高熱なんだけど虫が寄る寄る。
それをポケ~っと眺めていたら、スパンと頭を叩かれた。
「お前は邪魔しに来たのか? 下見に来たのか?」
振り返ると、不機嫌そうな宇津木さん。
そして、台車に機材を置いて愛想笑いのスタッフさん。
「あ。すみません。通路占領しました」
そそくさと避けると、宇津木さんに襟を掴まれてステージから下ろされる。
いや……だから、私はネコじゃない。
「お前はこっちから眺めてろ」
ステージ前の芝生に離された。
「あまりウロチョロするなよ?」
そう言って溜め息をつきつつ、向こう側にいるスタッフさんの集まりに混ざりに行った。
それをボンヤリ眺め、頭をかく。
……まぁ、いいんだけどね。
下見用に持ってきたデシカメを弄りながら、近くにあった鉄柵に腰をかけた。
Kミュージック主催のロックフェスティバル。
うちの会社は、去年の暮れ辺りからイベンターとして参加してるらしい。
イベンタト自体は他の部署が受け持っているけど、うちは当日のPRとパンフ、それから来年に向けて私は写真撮り。
その一部に参加。
T市のヤツよりは確かに責任は分散するけれど、アマチュアバンドの他にも有名ミュージシャンがたくさん。
大きな仕事には間違いないよね~。
間違いないんだけど。
……なんか、気分が乗らない。
「うー……」
「何を唸ってるんだ、お前は」
「うひゃぁああ!!」
思わずデジカメを落としそうになって手の上でお手玉する。
必死になって胸に抱き込み、キッと後ろを振り向いた。
「何でいっつも気配を消して近づいて来るんですか!!」
宇津木さんの呆れ顔が、不機嫌にすり替わる。
「別に黙って近づいてない。きちんと呼んでから近づいて来てる」
おやぁ?
「前にも言っただろうが。お前は呼んでも中々気付かない」
「それは……すみません」