シャッターの向こう側。
「お待たせしましたぁ~」
ドアを開けると、冴子さんに襟首を掴まれた坂口さん。
「…………」
さ、冴子さんて……
廊下で遠くを眺めているらしい宇津木さんも見える。
「あらあら、早かったわね~。雪ちゃん」
ぱっと手を離した冴子さんが、にこやかに振り返った。
その笑顔が恐いんですけど。
「……お待たせしました」
「あのね~。今日はね、海辺の方にキャンプに行くんですって」
冴子さんはするりと私の腕に腕を絡ませてきて、持っていた荷物を取り上げると、それを坂口さんに突き付ける。
「ホラ! 荷物持つ!」
乾いた笑いをもらしながら、私の荷物を持ってくれた。
「ホラ! 隆平も行くわよ!」
「大変なのに魅入られたな……」
ポソッと呟いた言葉に、冴子さんは素早く宇津木さんの鳩尾に肘を入れる。
「私はこんな可愛い妹が欲しかったわ!」
なんとなく……
私はこんなお姉さんはいらないかも……
だけど冴子さんって、かなり遠慮容赦なく宇津木さんに攻撃してるよね。
尊敬しちゃうと言うか、呆れてしまうと言うか……
やっぱり尊敬?
「私にもその技を伝授して下さい」
へ? という感じで振り返った坂口さんと冴子さん。
それから不機嫌オーラを発する宇津木さん。
「……いえ。何でもないっす」
何故、見破るかな~。
「100年早い」
ブツブツ言われてる様だけど、冴子さんが睨みを効かせて叩かれはしなかった。
そんな感じで坂口さんの車に乗り、いざキャンプ場を目指す。
運転手はもちろん坂口さん。
助手席には私。
後部座席には宇津木さんと冴子さん。
普通に何故か会話がない中……
「ねぇねぇ。普通の恋人同士って、どんな会話をするのぅ?」
目を輝かせた冴子さんが、坂口さんの座席の頭をガンガン叩いた。
「普通……って、普通?」
「全然参考にならないっ!!」
うん。
なんか宇津木さんと冴子さんて、どう転んでも〝普通〟の恋人同士に見えないもんね。
ドアを開けると、冴子さんに襟首を掴まれた坂口さん。
「…………」
さ、冴子さんて……
廊下で遠くを眺めているらしい宇津木さんも見える。
「あらあら、早かったわね~。雪ちゃん」
ぱっと手を離した冴子さんが、にこやかに振り返った。
その笑顔が恐いんですけど。
「……お待たせしました」
「あのね~。今日はね、海辺の方にキャンプに行くんですって」
冴子さんはするりと私の腕に腕を絡ませてきて、持っていた荷物を取り上げると、それを坂口さんに突き付ける。
「ホラ! 荷物持つ!」
乾いた笑いをもらしながら、私の荷物を持ってくれた。
「ホラ! 隆平も行くわよ!」
「大変なのに魅入られたな……」
ポソッと呟いた言葉に、冴子さんは素早く宇津木さんの鳩尾に肘を入れる。
「私はこんな可愛い妹が欲しかったわ!」
なんとなく……
私はこんなお姉さんはいらないかも……
だけど冴子さんって、かなり遠慮容赦なく宇津木さんに攻撃してるよね。
尊敬しちゃうと言うか、呆れてしまうと言うか……
やっぱり尊敬?
「私にもその技を伝授して下さい」
へ? という感じで振り返った坂口さんと冴子さん。
それから不機嫌オーラを発する宇津木さん。
「……いえ。何でもないっす」
何故、見破るかな~。
「100年早い」
ブツブツ言われてる様だけど、冴子さんが睨みを効かせて叩かれはしなかった。
そんな感じで坂口さんの車に乗り、いざキャンプ場を目指す。
運転手はもちろん坂口さん。
助手席には私。
後部座席には宇津木さんと冴子さん。
普通に何故か会話がない中……
「ねぇねぇ。普通の恋人同士って、どんな会話をするのぅ?」
目を輝かせた冴子さんが、坂口さんの座席の頭をガンガン叩いた。
「普通……って、普通?」
「全然参考にならないっ!!」
うん。
なんか宇津木さんと冴子さんて、どう転んでも〝普通〟の恋人同士に見えないもんね。