シャッターの向こう側。
勇気……もしくは迷子
******
あのキャンプから数週間が経った。
「あら。すっかり小麦色ちゃんね」
加納先輩の声に、パソコン画面から顔を上げる。
「そんなに日焼けしてますか? コンビニの日焼け止めじゃ効かないのかな~」
最近、野外の仕事も多かったから、一生懸命日焼け対策したのに。
「コンビニで買った日焼け止めもいいのがあるけどね。C社のはかなりいいわよ」
……それは、先輩がキャンペーンをしていたアレですかね。
「C社の回し者がいる~」
「おばかさん。良いものだから薦めてるんじゃないの」
「だって、高いんだもん」
「女はお金がかかるものなの! まだ若いからそんな事言ってるけど、若いうちからケアは大事なのよ? ね? 宇津木くん」
ひょいっと、先輩は宇津木さんを見る。
てか、宇津木さんは何故にそんなに無表情なんだ?
「俺に言われてもな。全く解らん」
詳しかったら、逆に怖いね。
「というわけで、神崎ちゃん借りていいかしら?」
何が〝というわけで〟なんだか解らないんですけどっ!?
「スミマセン、先輩。私は貸し借りするものではありません」
「まぁ、堅いことは言わない」
言いたくもなりますって。
半眼になって先輩を見ると、軽やかに笑って頷いてるし。
「で、神崎ちゃんは手は空いてる? 百貨店から秋の味覚祭の広告なんだけれど」
「あ。また緊急事項ですか?」
「お前もいい加減にしろよな」
呟いた宇津木さんに、先輩は無言でげんこつ。
ひぃ……っ!
ゴンって音がした、音が!!
「違うわよ。ちゃんと〝秋の〟って言ってるでしょ。撮影予定は来週よ」
自信満々に言ってるけど、それでもずいぶんと期間が短いですが。
「今回は私のミスじゃないわよ! 向こうの広報がミスったのよ!」
まぁ、この時期は有りがちだね。
季節の変わり目にはイベント組みたがるのが百貨店だし、コスメはスケジュール的にはしっかりしてるけど……
来週は……そんなに仕事も混んでなかったと思うな。
「加納さ……」
「ピヨは駄目。他に回せ」
隣から聞こえた声にポカンとした。
あのキャンプから数週間が経った。
「あら。すっかり小麦色ちゃんね」
加納先輩の声に、パソコン画面から顔を上げる。
「そんなに日焼けしてますか? コンビニの日焼け止めじゃ効かないのかな~」
最近、野外の仕事も多かったから、一生懸命日焼け対策したのに。
「コンビニで買った日焼け止めもいいのがあるけどね。C社のはかなりいいわよ」
……それは、先輩がキャンペーンをしていたアレですかね。
「C社の回し者がいる~」
「おばかさん。良いものだから薦めてるんじゃないの」
「だって、高いんだもん」
「女はお金がかかるものなの! まだ若いからそんな事言ってるけど、若いうちからケアは大事なのよ? ね? 宇津木くん」
ひょいっと、先輩は宇津木さんを見る。
てか、宇津木さんは何故にそんなに無表情なんだ?
「俺に言われてもな。全く解らん」
詳しかったら、逆に怖いね。
「というわけで、神崎ちゃん借りていいかしら?」
何が〝というわけで〟なんだか解らないんですけどっ!?
「スミマセン、先輩。私は貸し借りするものではありません」
「まぁ、堅いことは言わない」
言いたくもなりますって。
半眼になって先輩を見ると、軽やかに笑って頷いてるし。
「で、神崎ちゃんは手は空いてる? 百貨店から秋の味覚祭の広告なんだけれど」
「あ。また緊急事項ですか?」
「お前もいい加減にしろよな」
呟いた宇津木さんに、先輩は無言でげんこつ。
ひぃ……っ!
ゴンって音がした、音が!!
「違うわよ。ちゃんと〝秋の〟って言ってるでしょ。撮影予定は来週よ」
自信満々に言ってるけど、それでもずいぶんと期間が短いですが。
「今回は私のミスじゃないわよ! 向こうの広報がミスったのよ!」
まぁ、この時期は有りがちだね。
季節の変わり目にはイベント組みたがるのが百貨店だし、コスメはスケジュール的にはしっかりしてるけど……
来週は……そんなに仕事も混んでなかったと思うな。
「加納さ……」
「ピヨは駄目。他に回せ」
隣から聞こえた声にポカンとした。