シャッターの向こう側。
 よく解らないうちに通信は切られ、とにかくナビの通りに車を走らせた。


 とにかく、これで帰れる訳だよね?

 なんとなく見覚えのある通りについて、近所のスタンドでガソリンを入れてからレンタカー屋さんに車を返しに行った。


「…………」

「はい。延滞も無いようですので、追加料金は加算されません」

「はぁ……」

「では、またのご利用をお待ちしてます」

 なんて、営業所の兄ちゃんの笑顔に見送られそうになり、引き攣った笑みを返す。

「あの……」

「はい?」

 ああ、なんて眩しい笑顔なんだ。

「……ここ、裏口とかないですよね?」

「え?」

「あ。いえ、なんでもないです」


 肩を落として振り返り、自動ドアを開けて表に出ると、腕を組んで立っている長身を見上げる。

「なんで、こんな所にいるんですか」

「それか?」

「はい」

「それはな……」

 宇津木さんはニヤッと笑うと、いきなり私の頬っぺたをつまんだ。


「いひゃいれすっ!!」

「方向音痴の癖に、レンタカーなんぞ借りて突っ走る馬鹿を見に来たんだ!」

「ぎょみぇんなひゃぃ~!!」

「そう思うなら、乗る前に頭を働かせろと何度言わせる!!」

 私は、オモイッキリ人選を間違ったらしい……。

 とは、家に着いてから考えた。















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