シャッターの向こう側。
『雪か?』

「久し振り~」

『起きてたか?』

 ええと……おはよう。

『また寝坊してたのか』

「うるさいよ。お祖父ちゃん」

 呟いてソファーに座った。

「珍しいね、お祖父ちゃんから連絡くれるの」

『今帰ってきたところでな。18時になったら家に戻るから、久しぶりに孫の顔でも見ようと思ってな』

「相変わらず忙しいんだねぇ」

『マイペースにいってる。どうだ? 飯でも食いに行かないか?』

 まぁ、久しぶりのお祖父ちゃんだし……

 孫孝行するかな?

「いいよ。どこ行けばいい?」

『じゃあ、上野のパンダの前……』

「ちょっと待って。それ動物園じゃないよね?」

 前に待ち合わせして、とんでもなく待ちぼうけをくらわされた記憶がある。

『解った。原宿ハチ公の前にしよう』

「原宿のどこにハチ公がいるのさ」

『じゃ、アルトビル前にするか』

 解りやすい場所で待ち合わせをしてから通信を切った。

 それから慌てて用意をして部屋を出る。


 ホント久し振り!

 ウキウキしながら地下鉄を降り、アルトビルに向かった。


 ……んだけど。

 まぁ、久しぶりに来たからなぁ。

 どっちに出ればいいんだろ。

 駅前にある周辺地図を眺めながら腕を組む。


 だいたいさー、変わりすぎなのよ。

 ころころ目印が変わるから、ホント困る。

 地下通路は変わってるし、ビル名もチラチラ変わってるしさ。

 まぁ、出ればわかるかな?

 と、歩きかけ、


「雪ちゃん?」


 その声に振り返った。
< 176 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop