シャッターの向こう側。
 くるふわ巻き髪。

 綺麗にメイクされた笑顔。

 今日は白の涼しげなワンピに、アクセントとして青と白の水玉のスカーフを首に巻いている。

「冴子さん?」

 と、無表情で大量の紙袋を持つ宇津木さん。

 ……荷物持ちですか?


「久し振り~!! どうしたのこんなところで!」

「あ。待ち合わせなんです」

「そうなんだ~。私は買い物!」

 いや。

 見れば判ります。

「残念。雪ちゃん見つけたからどこかに拉致しちゃおうと思ったのに。待ち合わせならできないわね」

 それ以前にしようとしないでください。

「あは……お祖父ちゃんがビックリちゃいます」

「お前の祖父さん?」

 ボソッと呟きが聞こえて、私と冴子さんは首を傾げながら宇津木さんを見た。

「なぁに。隆平ってば興味津々?」

「まぁ……どんな人間から、こんな不思議生物が生まれるのかが興味ある」

「それはどういう意味ですか」

 私は天然記念物ですか。

「じゃ、見にいっちゃいましょうよ」

 冴子さんがウキウキと手を合わせ、私を見た。


 ……う、うちの祖父ちゃんは見世物じゃありませんが。


「で。どこで待ち合わせ?」

「アルトビルです」

 その言葉に冴子さんと宇津木さんは眉を顰めた。

「ピヨ……」

「はい?」

「アルトビルは反対側だが」

「…………」

 ま、そう言うこともあるかもしれない。

「ちなみに、進行方向も間違ってる」


 ……そこは突っ込まないで。


 冴子さんがにこやかに手を取って、私の顔を覗き込む。


「道案内するわね~」


 断り切れなかった……
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