シャッターの向こう側。
私の知らないお祖父ちゃんの活躍話を持ってくる同級生。
就職活動中に『アシスタントになるんでしょ?』なんて軽く言ってくれた人。
よく解らないけど羨ましがる人。
持ち上げるだけ持ちあげて、私の写真を影でけなす人。
あの〝写真家〟の孫なのに〝これくらい〟の写真なんだという暗い優越感。
専門学生時代は友達と呼べる人は数人しかいなくて、就職する時には徹底的にお祖父ちゃんとの関係は隠したのに……
溜め息をつきつつ頭をかいた。
そうだよね~。
腐っても宇津木さんはアート関係には強いもんね。
私の出すフォトコンまでチェック入れる人だし、そっち方面では有名人のお祖父ちゃんを知らないはずがない。
「え。なになに? 有名な人なの?」
冴子さんはともかく。
「冴子さん、平和賞って知ってますか?」
「ああ。うん。知ってると思うわ」
「写真でその賞を獲ってるんです、お祖父ちゃん」
冴子さんは目を丸くして、宇津木さんは無言で私の頭をゴンと叩いた。
「痛いじゃないですかっ!!」
「黙ってたからだろが」
「なんで話さなきゃならないんですか!」
「隠す必要もないだろうが!」
「宇津木さんが怒る理由が全然解らないから!! 何でうちの家族構成を教えなきゃいけないってのさ!」
「なんでも話してきただろうが!」
宇津木さんは怒鳴ると、驚いたままの冴子さんを引っ張って去って行った。
「…………」
痛む頭を押さえつつ、宇津木さんの後姿を見送って顔を顰める。
「腑に落ちない」
「お前は相変わらずの様で安心したと言うか、心配だというか……」
なんでお祖父ちゃんがそんな腑に落ちない顔をしてるかわからないけど。
「あの青年は宇津木くんと言うのかい?」
青年って柄じゃないと思うけど。
「うん。宇津木隆平さんって人」
「お前の何なんだ?」
何なんだ……と言われても。
「同僚……? 上司?」
なんともしっくりと来ないけど。
なんと言えば宇津木さんを表現できるのか。
「サドの隣人?」
「……口は禍の元と言うことわざを知っているか?」
「なんとなく」
就職活動中に『アシスタントになるんでしょ?』なんて軽く言ってくれた人。
よく解らないけど羨ましがる人。
持ち上げるだけ持ちあげて、私の写真を影でけなす人。
あの〝写真家〟の孫なのに〝これくらい〟の写真なんだという暗い優越感。
専門学生時代は友達と呼べる人は数人しかいなくて、就職する時には徹底的にお祖父ちゃんとの関係は隠したのに……
溜め息をつきつつ頭をかいた。
そうだよね~。
腐っても宇津木さんはアート関係には強いもんね。
私の出すフォトコンまでチェック入れる人だし、そっち方面では有名人のお祖父ちゃんを知らないはずがない。
「え。なになに? 有名な人なの?」
冴子さんはともかく。
「冴子さん、平和賞って知ってますか?」
「ああ。うん。知ってると思うわ」
「写真でその賞を獲ってるんです、お祖父ちゃん」
冴子さんは目を丸くして、宇津木さんは無言で私の頭をゴンと叩いた。
「痛いじゃないですかっ!!」
「黙ってたからだろが」
「なんで話さなきゃならないんですか!」
「隠す必要もないだろうが!」
「宇津木さんが怒る理由が全然解らないから!! 何でうちの家族構成を教えなきゃいけないってのさ!」
「なんでも話してきただろうが!」
宇津木さんは怒鳴ると、驚いたままの冴子さんを引っ張って去って行った。
「…………」
痛む頭を押さえつつ、宇津木さんの後姿を見送って顔を顰める。
「腑に落ちない」
「お前は相変わらずの様で安心したと言うか、心配だというか……」
なんでお祖父ちゃんがそんな腑に落ちない顔をしてるかわからないけど。
「あの青年は宇津木くんと言うのかい?」
青年って柄じゃないと思うけど。
「うん。宇津木隆平さんって人」
「お前の何なんだ?」
何なんだ……と言われても。
「同僚……? 上司?」
なんともしっくりと来ないけど。
なんと言えば宇津木さんを表現できるのか。
「サドの隣人?」
「……口は禍の元と言うことわざを知っているか?」
「なんとなく」