シャッターの向こう側。
「これがファインダーだとするとだな」
「はぁ」
「これを空に向けるな」
ん?
「地面にも向けるな」
「は、はい?」
「そうすれば、なんとなく春だ」
言ってること無茶苦茶でしょ。
思わずツッコミを入れかけて、やめる。
すると、宇津木さんは苦笑しながら首を傾げた。
「……荒城さんとの仕事は、今回は秋が主体か?」
荒城 雄一郎氏との仕事は次回で2回目になる。
前回は雑誌社の要望で『夏』を主体に撮って、ギリギリセーフで荒城さんと一緒のページに私の写真が載った。
そして今回は『秋』を撮ることになっているんだけど……
「気持ちは解らないでもないが、これも仕事だ」
「解ってますよぅ」
言いながらファインダーを覗く。
確かに、地面と空さえ写さなければ、まだ落ち葉の時期でもないこの季節……
緑豊かなチャペルに白いドレスが綺麗。
「要は自己暗示ですね」
「そうだな」
それにしても……
「手慣れてますね~。宇津木さん」
ふっと視線を上げると、目が合った。
「何がだ?」
「普段、テレビコマーシャルに携わってるの見たことないですけど」
「……現場は有野さん任せだから」
あ。
来てないだけで、携わってる訳か。
「前回の総合施設はともかく、テレビコマーシャルもやってる。いちデザイナーとして」
「ディレクターじゃなく?」
「有野さんがやったり、俺がやったり。だがほとんどの現場は有野さん任せ。俺がいると嫌がる奴もいるから」
「ああ。口煩いから」
スパン!と思いきり叩かれた。
「絵コンテの書類で叩くデザイナーがどこにいますかっ!!」
「コーヒーカップで殴られないだけマシだと思え!!」
「それ、一歩間違えたら殺人ですからっ」
「……君らうるさい」
振り返った先に、満面笑顔の有野さんがいた。
……笑顔って、たまに怖いんだ。
見ると遠くでは花嫁衣装とタキシードの二人が苦笑気味。
もちろん、カメラさんやレフ板持った兄ちゃんたちも困った顔をしていた。
「君ら、今はすることないから、昼飯にでも行ってこい」
笑顔で追い出された。
「はぁ」
「これを空に向けるな」
ん?
「地面にも向けるな」
「は、はい?」
「そうすれば、なんとなく春だ」
言ってること無茶苦茶でしょ。
思わずツッコミを入れかけて、やめる。
すると、宇津木さんは苦笑しながら首を傾げた。
「……荒城さんとの仕事は、今回は秋が主体か?」
荒城 雄一郎氏との仕事は次回で2回目になる。
前回は雑誌社の要望で『夏』を主体に撮って、ギリギリセーフで荒城さんと一緒のページに私の写真が載った。
そして今回は『秋』を撮ることになっているんだけど……
「気持ちは解らないでもないが、これも仕事だ」
「解ってますよぅ」
言いながらファインダーを覗く。
確かに、地面と空さえ写さなければ、まだ落ち葉の時期でもないこの季節……
緑豊かなチャペルに白いドレスが綺麗。
「要は自己暗示ですね」
「そうだな」
それにしても……
「手慣れてますね~。宇津木さん」
ふっと視線を上げると、目が合った。
「何がだ?」
「普段、テレビコマーシャルに携わってるの見たことないですけど」
「……現場は有野さん任せだから」
あ。
来てないだけで、携わってる訳か。
「前回の総合施設はともかく、テレビコマーシャルもやってる。いちデザイナーとして」
「ディレクターじゃなく?」
「有野さんがやったり、俺がやったり。だがほとんどの現場は有野さん任せ。俺がいると嫌がる奴もいるから」
「ああ。口煩いから」
スパン!と思いきり叩かれた。
「絵コンテの書類で叩くデザイナーがどこにいますかっ!!」
「コーヒーカップで殴られないだけマシだと思え!!」
「それ、一歩間違えたら殺人ですからっ」
「……君らうるさい」
振り返った先に、満面笑顔の有野さんがいた。
……笑顔って、たまに怖いんだ。
見ると遠くでは花嫁衣装とタキシードの二人が苦笑気味。
もちろん、カメラさんやレフ板持った兄ちゃんたちも困った顔をしていた。
「君ら、今はすることないから、昼飯にでも行ってこい」
笑顔で追い出された。