シャッターの向こう側。
直視……もしくはイマジネーション
******
ホテルの朝食って、結構好きだったりする。
スクランブルエッグに、ブロコッリーのサラダとミニトマト、カリカリのベーコンにトースト、それからミルクたっぷりのコーヒー。
洋食一辺倒なのは、やっぱりホテルだからか……
パクパク食べていると、宇津木さんはげんなりと新聞片手にブラックコーヒーを飲んでいた。
私が子供っていうより、この人が単に親父なだけじゃないだろうか?
ひしひしとそう考えていたら、宇津木さんは咳払いした。
「よく食うな」
「おかげ様で」
「別に褒めてない」
……なら言うな。
蹴られるのが目に見えてるから、そんなことは言わないけど。
「そういやお前。入社当時より肥えたよな」
「……ブハッ」
コーヒーを吹き出して、咳きこんだ。
こえ……
肥えただとぅ!?
「女性に対してなんてこと言うんですか!!」
「いや。ガリガリよりはいいんじゃないか?」
宇津木さんは涼しい顔で新聞に視線を落とし、美味しそうにブラックコーヒーを飲んでいる。
褒めたのか?
褒め言葉なのか!?
全然、そうは聞こえなかったけど!?
ハンカチで口元を拭き、ミニトマトをフォークで刺す。
「宇津木さんの好みは、ふくよかな方なんですね」
「……いや?」
新聞の記事からは目を逸らさず、宇津木さんは眉をしかめる。
記事に眉をしかめてるのか、私の言動に眉をしかめてるのか判らないけど、とりあえず足と手が出てこないところからすると、後者ではないのかもしれない。
「ガリガリは好みではないと……」
「何でお前とそんな話をしなきゃならないんだ?」
新聞をバサリと置いて、宇津木さんは腕を組んだ。
「先に言い始めたのは宇津木さんじゃないですか」
ミニトマトをモグモグさせながら、次にスクランブルエッグを眺める。
このスクランブルエッグ、バターがきつい。
「ま、宇津木さんの女性の好みなんて、どうでもいいですけどね」
「当たり前だ。お前には全く関係ないしな」
……関係があってたまるか。
無言で目を細めると、皮肉げに笑われた。
「今日はどこを回るんだ?」
「そうですねぇ……自然地区にします」
「また迷子か?」
「……遊歩道から出るつもりはありませんよ」
ホテルの朝食って、結構好きだったりする。
スクランブルエッグに、ブロコッリーのサラダとミニトマト、カリカリのベーコンにトースト、それからミルクたっぷりのコーヒー。
洋食一辺倒なのは、やっぱりホテルだからか……
パクパク食べていると、宇津木さんはげんなりと新聞片手にブラックコーヒーを飲んでいた。
私が子供っていうより、この人が単に親父なだけじゃないだろうか?
ひしひしとそう考えていたら、宇津木さんは咳払いした。
「よく食うな」
「おかげ様で」
「別に褒めてない」
……なら言うな。
蹴られるのが目に見えてるから、そんなことは言わないけど。
「そういやお前。入社当時より肥えたよな」
「……ブハッ」
コーヒーを吹き出して、咳きこんだ。
こえ……
肥えただとぅ!?
「女性に対してなんてこと言うんですか!!」
「いや。ガリガリよりはいいんじゃないか?」
宇津木さんは涼しい顔で新聞に視線を落とし、美味しそうにブラックコーヒーを飲んでいる。
褒めたのか?
褒め言葉なのか!?
全然、そうは聞こえなかったけど!?
ハンカチで口元を拭き、ミニトマトをフォークで刺す。
「宇津木さんの好みは、ふくよかな方なんですね」
「……いや?」
新聞の記事からは目を逸らさず、宇津木さんは眉をしかめる。
記事に眉をしかめてるのか、私の言動に眉をしかめてるのか判らないけど、とりあえず足と手が出てこないところからすると、後者ではないのかもしれない。
「ガリガリは好みではないと……」
「何でお前とそんな話をしなきゃならないんだ?」
新聞をバサリと置いて、宇津木さんは腕を組んだ。
「先に言い始めたのは宇津木さんじゃないですか」
ミニトマトをモグモグさせながら、次にスクランブルエッグを眺める。
このスクランブルエッグ、バターがきつい。
「ま、宇津木さんの女性の好みなんて、どうでもいいですけどね」
「当たり前だ。お前には全く関係ないしな」
……関係があってたまるか。
無言で目を細めると、皮肉げに笑われた。
「今日はどこを回るんだ?」
「そうですねぇ……自然地区にします」
「また迷子か?」
「……遊歩道から出るつもりはありませんよ」