シャッターの向こう側。
ハイカラー
古の歌……もしくは意識下
******
「秋風に、絶えず散り行く紅葉ばの、行方定めず、我ぞ悲しき」
by 詠み人忘れた。
「……何故イキナリ短歌なんだ?」
隣の言葉に、思わず首を傾げる。
「57577って、短歌なんですかね」
「俺が知るかよ」
ごもっとも。
何となく始まった週明け。
いつも通りの朝。
宇津木さんからは挨拶を無理矢理もぎ取り、これまた何となく吟じてみた。
「歌意は?」
……おや。
珍しい、宇津木さんが乗ってきた。
「秋の風に乗って、散りながらあっちこっち行っちゃう紅葉の葉っぱみたいに、どうなっちゃうんだろって歌でした」
本当は、どこに行き着くか、自分の心が解らないって歌なんだけども。
何故か乙女チックメーターが、とっても振り切れて、何となく覚えている歌なんだよね。
「……珍しく何か考えてるのか」
「珍しくは失礼でしょ」
「お前は思い付くまま突っ走るから」
それは間違いない。
パソコンに映し出したデーターを見ながら、腕を組む。
確かに、私って深く考える事って少ないのよ。
ただ、最近はよく考えさせてくれる事が多いかも。
仕事の事だったり、夢の事だったり。
坂口さんの事だったり。
加納先輩の言葉や、お祖父ちゃんの言葉も考える。
それから、急に優しい宇津木さんも。
いや。
急にって訳じゃないかも知れない。
だけど、いつから……とも、なんとも言えないんだけどさ。
「ピヨ」
「はい?」
「こないだの写真、ちょっといじっていいか?」
あら……珍しい。
いつもそのまま使うのに。
「画像処理なら、私が……」
「いや、映像と合わせたいから。こっちでさせてもらっていいか?」
「見てもいいですかぁ?」
モニターを見たままの宇津木さんに近寄って、その画面を覗き込む。
「あのな。ここではしな……」
宇津木さんが急に振り返り、
「っ………!!」
「うわっ」
鼻先スレスレの間近に端正な顔。
椅子やらファイルをなぎ倒し、お互い慌てて離れた。
「秋風に、絶えず散り行く紅葉ばの、行方定めず、我ぞ悲しき」
by 詠み人忘れた。
「……何故イキナリ短歌なんだ?」
隣の言葉に、思わず首を傾げる。
「57577って、短歌なんですかね」
「俺が知るかよ」
ごもっとも。
何となく始まった週明け。
いつも通りの朝。
宇津木さんからは挨拶を無理矢理もぎ取り、これまた何となく吟じてみた。
「歌意は?」
……おや。
珍しい、宇津木さんが乗ってきた。
「秋の風に乗って、散りながらあっちこっち行っちゃう紅葉の葉っぱみたいに、どうなっちゃうんだろって歌でした」
本当は、どこに行き着くか、自分の心が解らないって歌なんだけども。
何故か乙女チックメーターが、とっても振り切れて、何となく覚えている歌なんだよね。
「……珍しく何か考えてるのか」
「珍しくは失礼でしょ」
「お前は思い付くまま突っ走るから」
それは間違いない。
パソコンに映し出したデーターを見ながら、腕を組む。
確かに、私って深く考える事って少ないのよ。
ただ、最近はよく考えさせてくれる事が多いかも。
仕事の事だったり、夢の事だったり。
坂口さんの事だったり。
加納先輩の言葉や、お祖父ちゃんの言葉も考える。
それから、急に優しい宇津木さんも。
いや。
急にって訳じゃないかも知れない。
だけど、いつから……とも、なんとも言えないんだけどさ。
「ピヨ」
「はい?」
「こないだの写真、ちょっといじっていいか?」
あら……珍しい。
いつもそのまま使うのに。
「画像処理なら、私が……」
「いや、映像と合わせたいから。こっちでさせてもらっていいか?」
「見てもいいですかぁ?」
モニターを見たままの宇津木さんに近寄って、その画面を覗き込む。
「あのな。ここではしな……」
宇津木さんが急に振り返り、
「っ………!!」
「うわっ」
鼻先スレスレの間近に端正な顔。
椅子やらファイルをなぎ倒し、お互い慌てて離れた。