シャッターの向こう側。
自由契約……もしくはバランス
******
フリー……ねぇ。
昼休みを利用して、週末に渡された封筒の中身を見ながら頬杖をつく。
ちなみに今日は、おにぎりと卵焼きセットのお弁当。
鮭おにぎりがウマー。
「…………」
じゃなくて。
確かに基本給与は半分くらいに下がるけど、時間的に余裕が出来るのは魅力的。
他に不利な点は、会社の仕事を優先しなさいよ的な感じの事が書いてある。
……ま、それは当たり前だわね。
何しろ何もせずに給与をもらうなんて世の中そんなに甘くない。
でも、それ以外は会社にわざわざ出勤する事もない訳だから、例えばアルバイトをして時給を稼ぐ拘束時間を考えると……
うん。やっぱりこの契約の方が有利。
社会保険はつくし、雇用保険や厚生年金は引き継ぐし、退職金積み立ては一旦支払われる。
……とすると、月々その分を天引きされたのが手取りになるから。
今のマンション、学生の頃から住んでる物件だから十分に支払いは出来るね。
「なぁに。宇津木くん……さっそく個人契約書を持ち出したわけ?」
頭上から声が降って来て、慌てて振り返った先に加納先輩。
「び、びっくりした!」
「ああ、ごめんね? でも……それってそうでしょう?」
先輩は書類を眺めて首を傾げる。
「あ。はい……よく宇津木さんからだって解りましたね」
「うん。コイツ、得意だもん」
「得意?」
今は空の宇津木さんのデスクを指差し、先輩は溜め息をつく。
「そうやって育てた後輩をすぐフリーにするから……だから、未だに周りに友達が少ないのよ」
「え? 坂口さんとか、先輩がいるじゃないですか」
それに、有野さんとも仲が良いよね?
「……坂口くんは微妙かなぁ?」
「……ですか?」
一緒にキャンプ行くような仲なんだと思うんだけど。
「同じ部内でもないし……それに、宇津木くんは私にはかなり遠慮してるし」
え?
「あの宇津木さんが、先輩に遠慮してるんですか?」
どうやって!!
どうやったら、あの宇津木さんに遠慮させられるんだ!?
「なんか昔、同期で飲みに行くことがあってね」
「はい」
「私、宇津木くんを怒って道路に突き飛ばしたのよね」
「…………」
私には真似出来ません。
フリー……ねぇ。
昼休みを利用して、週末に渡された封筒の中身を見ながら頬杖をつく。
ちなみに今日は、おにぎりと卵焼きセットのお弁当。
鮭おにぎりがウマー。
「…………」
じゃなくて。
確かに基本給与は半分くらいに下がるけど、時間的に余裕が出来るのは魅力的。
他に不利な点は、会社の仕事を優先しなさいよ的な感じの事が書いてある。
……ま、それは当たり前だわね。
何しろ何もせずに給与をもらうなんて世の中そんなに甘くない。
でも、それ以外は会社にわざわざ出勤する事もない訳だから、例えばアルバイトをして時給を稼ぐ拘束時間を考えると……
うん。やっぱりこの契約の方が有利。
社会保険はつくし、雇用保険や厚生年金は引き継ぐし、退職金積み立ては一旦支払われる。
……とすると、月々その分を天引きされたのが手取りになるから。
今のマンション、学生の頃から住んでる物件だから十分に支払いは出来るね。
「なぁに。宇津木くん……さっそく個人契約書を持ち出したわけ?」
頭上から声が降って来て、慌てて振り返った先に加納先輩。
「び、びっくりした!」
「ああ、ごめんね? でも……それってそうでしょう?」
先輩は書類を眺めて首を傾げる。
「あ。はい……よく宇津木さんからだって解りましたね」
「うん。コイツ、得意だもん」
「得意?」
今は空の宇津木さんのデスクを指差し、先輩は溜め息をつく。
「そうやって育てた後輩をすぐフリーにするから……だから、未だに周りに友達が少ないのよ」
「え? 坂口さんとか、先輩がいるじゃないですか」
それに、有野さんとも仲が良いよね?
「……坂口くんは微妙かなぁ?」
「……ですか?」
一緒にキャンプ行くような仲なんだと思うんだけど。
「同じ部内でもないし……それに、宇津木くんは私にはかなり遠慮してるし」
え?
「あの宇津木さんが、先輩に遠慮してるんですか?」
どうやって!!
どうやったら、あの宇津木さんに遠慮させられるんだ!?
「なんか昔、同期で飲みに行くことがあってね」
「はい」
「私、宇津木くんを怒って道路に突き飛ばしたのよね」
「…………」
私には真似出来ません。