シャッターの向こう側。
「い……いった~……」

 思いきり頭を窓にぶつけた。

「あ。ごめんね。猫がね」

 今野兄はカラカラと笑って、後ろを振り返る。

「ま。俺も気をつけてるんだけどね。好きな人って、どうしても目で追わない?」

 え……ぇえ?

「特に気をつけないと、きっと神崎さんは気持ちで突っ走りそうだから」

「あ、う……あのっ!?」

「大丈夫だよ。人の恋路に首突っ込む程、俺も余裕ないし」

 いや。

 そうじゃなくて。


「私が……う、宇津木さんて……」

「そうでしょう」

 キッパリ断言されて、思わずキョロキョロと辺りを見回す。

「本人は気付いてないと思うよ? 宇津木さんて、どっか抜けてるとこがあるから」

「はぁ!?」

「うん。多分、加納さんも気付いてない」

「な、何をですか!?」


 今野兄は微かに笑ってから咳払いした。


「神崎さんて正直。写真で解るよ」


 な、何をですか~!?















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