シャッターの向こう側。

自覚……もしくは決意

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 今野兄の爆弾発言を聞いて数日後。

 仕事の合間に資料室……と呼ばれる倉庫っぽい部屋でファイルをめくっていた。

 あるのも知らなかった資料室。

 図書室みたいな造りになっている。

 ここらへんのファイルは、だいたいグラフィックスの人がまとめるらしい……

 と、聞いて納得。

 だいたい他部署の仕事ばかりで、グラフィックスの人との接点も少ない。

 よくて宇津木さんか、加納先輩くらい。

 知らなくって当然!

 ……と思ってたら、宇津木さんに溜め息をつかれた。


 あんにゃろう、だわ本当。


 パラパラとファイルをめくると、入社当時の写真が出て来て、思わず苦笑した。

 構図が変。

 光源が無茶苦茶。

 ちょっとピンボケ。

 何を撮りたいんだ、コレ。

 と言う感じのものばかり。


 なんでもここの写真は閲覧自由で、グラフィックスの人が多く出入りするらしい。

 ……で、使いたいモノがあれば、本人に許可取ってくるらしいけど。

 正直、自分でも意味が不明だぞ、この写真って。


 苦笑して頭を抱えた。

 そりゃ〝使わなかった〟写真を保管してるらしいから〝使えない〟んだろうと思ってたけど。

 我ながら使えなさ過ぎない?

 中にはやたら構図に懲りすぎて、訳解んないのまであるしさ。

 パラパラっとファイルを閉じて、もう一冊のファイルを手にとる。


 これは……今年のかな?

 なんとなく、見れるものにはなってるけど……

 今度は面白みも何もない。

 ……ここら辺から、言われるようにしか撮ってないと思う。

 まるでポスター写真の見本市……みたいな感じだね。

 と、思って眺めていたら、何故か社員旅行の写真が出てきた。


 これは……去年の。

 結構バラバラに入ってるんだ。

 温泉の浴衣を来てピースしてる写真や、荒木さんのスピーチ風景。

 そうそう、グラフィックスの人がタイツマンになって踊っていたっけ。

 と、眺めていたら、ちゃんと入っていなかった写真がバラバラと落ちる。

「……うわー」

 あまり席を外してたら、宇津木さんに見つかりそうなんだけどな。

 慌てて拾いあげたら、一枚の写真が目に入った。
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