シャッターの向こう側。
「肖像権とるぞ?」
「会社に請求して下さいよ?」
「……出来るかよ」
ぶつぶつ文句を言いながら、砂浜を歩いていく宇津木さんの後ろ姿をファインダー越しに見つめる。
後ろ姿を見ていた。
いつも、振り返ってくれるのを期待していた。
どうしてかは全然解らない。
だけど、いつの頃からか……
たぶん、並んで歩きたいと思っていた。
フォトグラファーとグラフィックデザイナー……
そりゃ扱うモノは違うけど〝アート〟を目指す姿勢は一緒。
だから、ライバルとして一緒に歩いて行きたいんだと……
漠然と思っていた。
でも
たぶん違う。
そうじゃない。
いつからか知らない。
知らないけど……
思えば、ずっと見ていた。
ずっと、ずっと……
「ここでいいか?」
かなーり離れた位置から声をかけてくる宇津木さんに微笑む。
「離れても、望遠レンズありますが」
「勘弁しろよ……」
ゲンナリとする宇津木さんにクスクス笑った。
私、宇津木さんが好き。
だけど、冴子さんも好き。
坂口さんには迷惑をかけてしまった……
「…………」
夢は写真家。
私はそんなに器用じゃないから。
両方なんて上手く出来ないから。
だから
「宇津木さん」
「なんだ?」
頑なに海を見つめ振り返らない。
そんな姿を見ながらピントを合わせる。
「私、契約社員になろうと思います」
驚いた様に振り返った瞬間、シャッターを切る。
「あ……」
「あー……駄目じゃないですか、振り返ったら」
「今のは不可抗力だ。消せ!」
「消せませんて。このカメラじゃ」
手を振りながら肩を竦めて見せると、宇津木さんは顔を押さえてうなだれた。
「現像したら外しとけよ?」
「もちろん」
にこやかに返事をすると、宇津木さんは背を向けた。
その後ろ姿に……
何故か泣きそうになった。
「会社に請求して下さいよ?」
「……出来るかよ」
ぶつぶつ文句を言いながら、砂浜を歩いていく宇津木さんの後ろ姿をファインダー越しに見つめる。
後ろ姿を見ていた。
いつも、振り返ってくれるのを期待していた。
どうしてかは全然解らない。
だけど、いつの頃からか……
たぶん、並んで歩きたいと思っていた。
フォトグラファーとグラフィックデザイナー……
そりゃ扱うモノは違うけど〝アート〟を目指す姿勢は一緒。
だから、ライバルとして一緒に歩いて行きたいんだと……
漠然と思っていた。
でも
たぶん違う。
そうじゃない。
いつからか知らない。
知らないけど……
思えば、ずっと見ていた。
ずっと、ずっと……
「ここでいいか?」
かなーり離れた位置から声をかけてくる宇津木さんに微笑む。
「離れても、望遠レンズありますが」
「勘弁しろよ……」
ゲンナリとする宇津木さんにクスクス笑った。
私、宇津木さんが好き。
だけど、冴子さんも好き。
坂口さんには迷惑をかけてしまった……
「…………」
夢は写真家。
私はそんなに器用じゃないから。
両方なんて上手く出来ないから。
だから
「宇津木さん」
「なんだ?」
頑なに海を見つめ振り返らない。
そんな姿を見ながらピントを合わせる。
「私、契約社員になろうと思います」
驚いた様に振り返った瞬間、シャッターを切る。
「あ……」
「あー……駄目じゃないですか、振り返ったら」
「今のは不可抗力だ。消せ!」
「消せませんて。このカメラじゃ」
手を振りながら肩を竦めて見せると、宇津木さんは顔を押さえてうなだれた。
「現像したら外しとけよ?」
「もちろん」
にこやかに返事をすると、宇津木さんは背を向けた。
その後ろ姿に……
何故か泣きそうになった。