シャッターの向こう側。
否定……もしくは決め事
******
「それで……なんの扮装な訳?」
20日。
ホテルの一室を借りて女子達が着替える中。
にこやかな私に対して、困惑気味の佐和子。
「なんの……って。見たら解るよね?」
藤色のタフタに、サッシュベルト。
腰にはジャラジャラ金鎖の飾り。
上はさすがにピッタリしたTシャツと省いてるけど、
「ほら。頭からベールを被れば気分はアラビアンさ!」
スッポリベールを頭から被った私を見て、佐和子は頷いた。
「誰か解らないわ」
「…………」
そうかもしれない!
「だって思い付かなかったんだもん」
見えないながらも、耳にエキゾチック満点のイヤリングを付ける。
細かい金属が重なり合う音がシャラシャラして楽しい。
「思い付かなかった……って。どこの衣装屋から借りたのよ」
「ん? この間、今野さんの撮影に付き合ってショーパブにいったのね」
「ショーパブ?」
「うん。飲み屋雑誌みたいなのの仕事もしてるみたいで」
「まさかショーパブの衣装?」
「ピンポン☆ 正解したけど賞品はないよ」
「欲しくはないわよ」
佐和子はゲンナリと肩を落として、持っていた羽の内輪を閉じた。
「佐和子だって、何だか西大后みたいだよ?」
豪勢なチャイナチック。
「……楊貴妃とお呼び」
「……うわぁ、絶世の美女と自称する?」
「……高飛車にも程があるわね」
「うん」
「否定してよ」
それはともかく、まわりはこれぞとばかりに着飾った人がたくさん!
……中には雪だるまの着ぐるみもいるから、佐和子は比較的大人しい部類かも知れない。
「それにしても、これが社会人のするクリスマス会かしらね」
壁の花を決め込む佐和子に付き合い、立食パーティーでざわめく会場を眺める。
「う~ん……。でもさ……」
言いかけた時、会場のステージにスタスタと人が現れた。
『皆様、お忙しい中、お集まり頂き……』
マイクから聞こえた声にあんぐりと口を開ける。
「それで……なんの扮装な訳?」
20日。
ホテルの一室を借りて女子達が着替える中。
にこやかな私に対して、困惑気味の佐和子。
「なんの……って。見たら解るよね?」
藤色のタフタに、サッシュベルト。
腰にはジャラジャラ金鎖の飾り。
上はさすがにピッタリしたTシャツと省いてるけど、
「ほら。頭からベールを被れば気分はアラビアンさ!」
スッポリベールを頭から被った私を見て、佐和子は頷いた。
「誰か解らないわ」
「…………」
そうかもしれない!
「だって思い付かなかったんだもん」
見えないながらも、耳にエキゾチック満点のイヤリングを付ける。
細かい金属が重なり合う音がシャラシャラして楽しい。
「思い付かなかった……って。どこの衣装屋から借りたのよ」
「ん? この間、今野さんの撮影に付き合ってショーパブにいったのね」
「ショーパブ?」
「うん。飲み屋雑誌みたいなのの仕事もしてるみたいで」
「まさかショーパブの衣装?」
「ピンポン☆ 正解したけど賞品はないよ」
「欲しくはないわよ」
佐和子はゲンナリと肩を落として、持っていた羽の内輪を閉じた。
「佐和子だって、何だか西大后みたいだよ?」
豪勢なチャイナチック。
「……楊貴妃とお呼び」
「……うわぁ、絶世の美女と自称する?」
「……高飛車にも程があるわね」
「うん」
「否定してよ」
それはともかく、まわりはこれぞとばかりに着飾った人がたくさん!
……中には雪だるまの着ぐるみもいるから、佐和子は比較的大人しい部類かも知れない。
「それにしても、これが社会人のするクリスマス会かしらね」
壁の花を決め込む佐和子に付き合い、立食パーティーでざわめく会場を眺める。
「う~ん……。でもさ……」
言いかけた時、会場のステージにスタスタと人が現れた。
『皆様、お忙しい中、お集まり頂き……』
マイクから聞こえた声にあんぐりと口を開ける。