シャッターの向こう側。
 宇津木さんは無言で私を見て、有野さんも私を見る。


 な、なんか悪いことしたっ?


「あ~あ……バレちゃったか」

「道理で。最近伯父がうるさいと思いましたが」

 ……何が?

「ははぁ……」

 有野さんは烏龍茶を飲みつつ、ニヤリと笑ってる。


 友情か?

 これが噂の男の友情か!?

 全く持って訳解らないぞ!?

 そんな感じに会話は始まり、定食風のお料理がきてしばらくした頃、有野さんが電話に立った。


「…………」

「……まだ食ってるのか」

 すでに食べ終わって、寛ぎモードの宇津木さんがちらっと私を見る。


「早食いは身体に悪いです」


 てか……

 烏龍茶を飲みつつ鼻で笑いましたね!?

「宇津木さんなんて早死にするんだから」

「お前より長生きしてやるよ」

「何を根拠に言ってるんですか」

「お前、カメラ持ったまま崖を落ちそうだしな」


 うん。

 それは有り得そうかな。

 納得出来てしまうのが……


 悔しい~~!!


 頭を抱えた瞬間、鈍痛に顔をしかめた。

 そういや、さっき2連続で頭をぶつけたんだっけ。


「……これか?」

「へ?」

 宇津木さんがくしゃりと髪に触れ、コブになった部分を眺める。

「吐き気とかはなさそうだな」

「あ、はい」

「コブになっただけか」

「た、多分」

「血は出てないな」

「そ、そうですか」


 なんか……


 髪を触られながら、そんな真剣な顔をされてると……


 妙に恥ずかしいんですけど。


「お前もなんであんな所で大声あげてるんだよ」

「え?」

「なんか叫んでなかったか?」

「なんか……」


 なんか……?


 って。

「い、言いたくないですっ」


 絶対言えないってさ!!!


「まぁ、いいが」


 いいなら聞くなっ!!

 聞くんじゃないっ!


「あれ……」


 ん?


 と、顔を上げると有野さんが戻って来てた。


 にやぁりと、何故か笑い。


「エッチだな」
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