シャッターの向こう側。
 勢いよく振り返ると、


「うわ……っ」


 後ろにいた宇津木さんが、ぎょっとした顔をしたのが見えた。


 そして目の前が真っ暗。

 街灯は?

 お店のネオンは?

 なんで真っ暗闇なの?

 なんでこんなに暗いの!?

 ここどこ?

 公園はどこ?

 ブランコは……


「悪かった! 悪かったから落ち着けっ!」

 耳元で怒鳴られて、ポカンとした。



 なんで宇津木さんがこんなに近いの?

 なんでこんな顔が近い……


「本当にお前は怖いの苦手なんだな」


 って、宥めるように背中を叩いてくるけどさ。


 なんで……


 どうして背中に?


 恐る恐る視線を下げて、ぎょっとする。


 なんで私は宇津木さんに抱き着いてるのさ!?


「うきゃ……っ」

「おっと……」


 逃げようとしたら、逆にボスッと胸元に引き寄せられる。


 何があった!?

 何をトチ狂ったの!?


 これは夢?

 これは妄想!?


 妄想にしてはえらくリアルな……


「やっと捕まえたられたな」


 何が?


「お前は、捕まえておかないと、どこに飛んで行くか解らなくなる」


 意味が不明!!

 全然意味が不明だから!!

 まったく全然、理解不能だから!!


「一つ聞いていいか?」


 何を?


「お前、俺の事が好きか?」





 何を言ってるの────!!?
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