シャッターの向こう側。
後日談……もしくは日常
******
「何をニヤニヤ見てるんだ?」
ソファーに座って昔のアルバムを広げていたら、彼はそう言って後ろから髪に触れる。
「昔のアルバム」
「……ああ。付き合い始めた時の」
覗き込んだ先にあるのは一枚の写真。
よく見るとうっすらお髭が見えるお姉様もいる中、私達のキスシーン。
「よく恥ずかしがりもせず、こんな事を出来たよね~」
「恥ずかしがったら出来ないだろ」
いや。
それはそうなんだけど。
「豪胆だよね」
「お前には言われたくないよな」
「たまには言わせてよ」
クスクス笑うと、そっと髪をかきあげられて耳元に息を吹き掛けられた。
「ひゃ……っ」
「明日から出張なんだが」
ジャケットを脱ぎながら、溜め息混じりに呟かれて振り返る。
「知ってる」
「仕事になるんだが」
「そんなの当たり前」
「一緒の部屋にしたから」
「公私混同は良くないような気がする」
「夫婦で別々に泊まるのも良くないような気がするが」
呟きながら、ジャケットを寝室の方に持って行った。
片付け好きな旦那様。
広げたアルバムを片付けろと言いたいのかも知れない。
付き合って一年。
結婚してから半年。
宇津木雪になるなんて、夢にも思っていなかったあの頃。
「ねえ」
「ん?」
キッチンに立って、グラスに麦茶を注いでいる姿を眺めつつにんまりと笑う。
「今度ね、ママさん雑誌の仕事をしようかと思うんだ」
「ママさん雑誌? 珍しいな」
「うん。だってママになるみたいだし」
「……誰が」
「私が?」
しばらく沈黙が続いて、ガチャンとグラスを置く音がした。
「いつ!?」
「今、五週目だって。だからお祖父ちゃんとの来年やる写真集の仕事、断った」
「断ったって……楽しみにしてただろう」
「でも、0歳児連れて外国には行けないでしょ」
「明日の出張もキャンセルするか?」
「あの……病気じゃないんだから」
呆れた声をあげると、キッチンから出て来て隣に座った。
「何をニヤニヤ見てるんだ?」
ソファーに座って昔のアルバムを広げていたら、彼はそう言って後ろから髪に触れる。
「昔のアルバム」
「……ああ。付き合い始めた時の」
覗き込んだ先にあるのは一枚の写真。
よく見るとうっすらお髭が見えるお姉様もいる中、私達のキスシーン。
「よく恥ずかしがりもせず、こんな事を出来たよね~」
「恥ずかしがったら出来ないだろ」
いや。
それはそうなんだけど。
「豪胆だよね」
「お前には言われたくないよな」
「たまには言わせてよ」
クスクス笑うと、そっと髪をかきあげられて耳元に息を吹き掛けられた。
「ひゃ……っ」
「明日から出張なんだが」
ジャケットを脱ぎながら、溜め息混じりに呟かれて振り返る。
「知ってる」
「仕事になるんだが」
「そんなの当たり前」
「一緒の部屋にしたから」
「公私混同は良くないような気がする」
「夫婦で別々に泊まるのも良くないような気がするが」
呟きながら、ジャケットを寝室の方に持って行った。
片付け好きな旦那様。
広げたアルバムを片付けろと言いたいのかも知れない。
付き合って一年。
結婚してから半年。
宇津木雪になるなんて、夢にも思っていなかったあの頃。
「ねえ」
「ん?」
キッチンに立って、グラスに麦茶を注いでいる姿を眺めつつにんまりと笑う。
「今度ね、ママさん雑誌の仕事をしようかと思うんだ」
「ママさん雑誌? 珍しいな」
「うん。だってママになるみたいだし」
「……誰が」
「私が?」
しばらく沈黙が続いて、ガチャンとグラスを置く音がした。
「いつ!?」
「今、五週目だって。だからお祖父ちゃんとの来年やる写真集の仕事、断った」
「断ったって……楽しみにしてただろう」
「でも、0歳児連れて外国には行けないでしょ」
「明日の出張もキャンセルするか?」
「あの……病気じゃないんだから」
呆れた声をあげると、キッチンから出て来て隣に座った。