シャッターの向こう側。
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1ページおまけ。(旧拍手お礼)
■雪と隆平の日常




「ああ! ダメだって、顔を背けちゃ!」

 カメラを構える私に、困った様に俯く隆平さん。

 どうも写真に写るのは苦手らしい。

「……別に、いいんじゃないのか? 俺が写らなくても」

「何を言ってるの。どうせアナタの愛情表現なんて解りづらいんだから、きちんと解る形で残さないでどうするの」

「悪かったな」

 眉を寄せて、睨み返す隆平さんの腕には、3ヶ月になる我が子。

 いいじゃないの、我が子を抱く父親って。

「ちょっと、少しは笑ってよね」

「そんな無茶…」

 言いかけた時、寝ていた娘が目を覚ました。

 誰に似たのか、寝起きはご機嫌斜めの娘が、何故か今日はおとなしく目をパチパチさせている。

「珍しい~」

「……だな」

 そう言う隆平さんは、ちょっとだけ可愛い。

 ぼんやりと二人で娘を見ていたら、その小さな手が隆平さんの口を押さえた。

「………?」

 ……これは。

 これはこれは……!


 可愛い!

 可愛い過ぎるぞ! 我が娘よ!


 口を押さえられて困惑してる隆平さんと、一生懸命に口を押さえる娘。

 頬笑ましい!

 微笑ましいよ!

 思わずシャッターを切ったら、気付かれた。

「……お前は、どうしてそうやって隠し撮りをするんだ」

「え。隠れてないよ?」

「そう言う意味じゃなくてだな……」

 それはそれは、呆れた旦那の声が聞こえた。



■ □ ■ □

シャッターの向こう側。
後日談

2010 1/25
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