シャッターの向こう側。
 何だ!?

 何が『これでいい』訳!?

 何がどうして『それでいい』訳!?


 よくない。

 私は全然よくないよ!!


 どうした!?

 宇津木さんどうしたんだ!?


「それで? 何が言いたいんだ」

 オデコに手を当てると、それはそれは冷たい視線を返して来た。

「え……と」

 熱でもあるのかな~…なんて?

「えへっ☆」

「ごまかせていない」

 頼むからごまかされて。

「ま。だいたいは解る」


 写真をテーブルに置きながら溜め息。

 それから、お腹を支えられながら膝の間に座り直された。


 てか……さ。


「あの……」

「なんだ」

 肩の辺りに顎を乗せられて、とっても緊張するんだけど。

 てか、羽交い締めと言うか……


「急にどしたんですか」

「お前は小さいから出来るかと」


 何を……っ!?


「……遠慮する気はないしな」


 だから何を!?


 ……慌てている私をよそに、宇津木さんは置いた写真の束を持ち上げた。

「これはいつ頃撮った写真だ?」

「え?」

 目の前に一枚出されてキョトンとする。

 窓とカーテン、そこから見える木漏れ日と光り。

 これは確か……

「高校生の時ですね」

「普通だな」

「…高校生に芸術性を求めないで下さい」

「これは?」


 スルーかよ。


 ちょっとムッとしながらも、次に出された写真を見た。


 高校生の学祭準備。

 作りかけの看板などがかけられた廊下。

 長い廊下には、数人の学生服の友達。

 面倒と言いつつも真剣で、放課後に皆で居残る雰囲気が大好きだった。


「1年の学祭ですかね」

「人物が入ると、クオリティーが上がるんだな」

「おじいちゃんの影響でしょうね。おじいちゃんは人物の方が好きだから」

 そう言うと、写真をめくりながら頭をくっつけて来る。

「お前が風景に行ったのは何故だ?」


 何故って……


 ……あまり考えた事がなかった。
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