シャッターの向こう側。
 何故、私はベットに寝転がっているんだろ?

 どうして、宇津木さんは私を見下ろしているんだろ?


 そして……


 どおして、そんなに怪しげな笑みを……?



「じゃ、手伝え」

「は、はい?」

「一緒に汗をかこうか」

 耳元で囁かれた言葉に、背中がゾクリとする。


「い、一緒にって……」


 手が、ブラウスに掛かって瞬き。


 ちょ……っ!?


「人の体温って、いいよな?」

 熱くなった指先がブラウスのボタンを外し、するりと鎖骨をなぞる。


「ま……っ安静にしてなきゃ……っ!」

「後でな」

「だ、駄目っ!」

 と、何か問いたげな潤んだ眼と視線が合って、思わず黙り込む。


「少し、黙れ」


 黙れないっ!


 黙れないけど……っ!


 ブラウスをポイッと放り投げられ、腰に跨がる宇津木さんを見上げた。


「……駄目か?」


 って、貴方。

 Tシャツ脱ぎながら、何を言うかっ!


「…………」


 でも…宇津木さんて、着痩せするよね~。

 ぱっと見は細いけど、しっかり筋肉質って言うのか、バランスいい。

 そのバランスのいい身体が……


 って、違~うっ!

 そうじゃなくて!

「貴方は病人! 病人は病人らしく寝ててよ!」

「病人は理性なんて保てない」

「一理あるっ!」

「だろう?」


 ぢゃなくてっ!


「だ……っ」

 駄目と言う言葉は、唇で塞がれた。



 いつもより、熱い唇。

 宇津木さんの熱が入り込んで来て、絡み合う。


 息も出来ないくらい、深く、激しく……だけどゆっくりと。


 熱い。


「熱が……」

「……冷たくて、気持ちいい」

 首筋からするりと、だけどゆっくりと辿っていく唇。

 身体が震えて、また目が合った。
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