シャッターの向こう側。
***


 後日。

 元気に出社した宇津木さんに、有野さんが声をかけたらしい。


「回復したか?」

「まぁ」

「神崎さんの看病って効くんだな。で、彼女に頼みたい仕事があるんだけど」

「しばらく無理です。うちで寝てますから」

 宇津木さんは、それはそれは澄ました顔で言ったと言う。


 これはもちろん佐和子の話。


 私はその頃、40度近い熱で宇津木さんのベットで寝込んでいたから──…










2010.5/15

< 375 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop