シャッターの向こう側。
頼んできた本人がいないのはどういう事だ。
眉をしかめて、腕を組む。
「…………」
まぁ、いい。
あいつは真剣になると場所は忘れる……
と、すると作りかけのビルだ、足元に何があるか解らない。
先に確認しておこう。
本来ならガラスの扉か自動ドアがつくのだろう場所を通り過ぎ、辺りに目を凝らす。
本来、窓のある所から街灯の明かりが入り込んでいるが、それ以外は闇が濃い。
間違いなく、ここはあいつには鬼門だな。
何せ作り物と解っている『お化け屋敷』でもお経をあげはじめる奴だから。
まぁ、それを逆手にとった事もあるが……
持っていた鞄からペンライトをつけ、サッと辺りを照らす。
小さなペンライトだけでは、全体を見る事はできないが……
がらんとした空間は、コンクリートの灰色だけが見えた。
歩くと、足音がその空間に響く。
その音が耳障りになって、出来るだけ足元を忍ばせた時、暗闇の奥で小さな音がした。
カサ……ではなく。
本当に小さな、カララ……という乾いた音。
吹き抜けのビルだ、風が入って何か小石でも転がったか……
いや、小石があるか?
あるならあるでいいが……
いや、駄目だな。
たぶん、そんな音でもあいつは反応しそうだ。
叫び声を上げて、抱き着かれるのは嬉しいが、その後に宥めるのが面倒。
それも楽しいと言えばそこまでだが、そのきっかけが仕事を依頼した有野さんと言うのが気に入らない。
奥に向かって進むと、また音がした。
今度は背後で。
サッとペンライトを向けても、そこにあるのは暗闇ばかり……
「…………」
さすがに、この雰囲気は不気味だ。
眉をしかめて、腕を組む。
「…………」
まぁ、いい。
あいつは真剣になると場所は忘れる……
と、すると作りかけのビルだ、足元に何があるか解らない。
先に確認しておこう。
本来ならガラスの扉か自動ドアがつくのだろう場所を通り過ぎ、辺りに目を凝らす。
本来、窓のある所から街灯の明かりが入り込んでいるが、それ以外は闇が濃い。
間違いなく、ここはあいつには鬼門だな。
何せ作り物と解っている『お化け屋敷』でもお経をあげはじめる奴だから。
まぁ、それを逆手にとった事もあるが……
持っていた鞄からペンライトをつけ、サッと辺りを照らす。
小さなペンライトだけでは、全体を見る事はできないが……
がらんとした空間は、コンクリートの灰色だけが見えた。
歩くと、足音がその空間に響く。
その音が耳障りになって、出来るだけ足元を忍ばせた時、暗闇の奥で小さな音がした。
カサ……ではなく。
本当に小さな、カララ……という乾いた音。
吹き抜けのビルだ、風が入って何か小石でも転がったか……
いや、小石があるか?
あるならあるでいいが……
いや、駄目だな。
たぶん、そんな音でもあいつは反応しそうだ。
叫び声を上げて、抱き着かれるのは嬉しいが、その後に宥めるのが面倒。
それも楽しいと言えばそこまでだが、そのきっかけが仕事を依頼した有野さんと言うのが気に入らない。
奥に向かって進むと、また音がした。
今度は背後で。
サッとペンライトを向けても、そこにあるのは暗闇ばかり……
「…………」
さすがに、この雰囲気は不気味だ。