シャッターの向こう側。
 まず今日の格好から見て、きっと自分に何が合うかを解ってるでしょ?


 ……きっと、ナルシストの気あり。


 そして、気がつけば人をぶったたいてくるでしょ?


 ……要するにサディスト。


 それから、口が悪い訳でしょ?

 人を睨んでくるでしょ?

 無愛想か、皮肉っぽい笑顔しか見たことないでしょ?

 綺麗好きなのかなんなのか、デスクをちょこっとはみ出た書類にも、顔をしかめてくるでしょ?

 ……まぁ、これは整頓しとかない私も悪いけど。

 なんか、美点より欠点の方が多いんじゃないか?

 うん。

 なんか確実に多いね。

 頷いていたら、また頭を小突かれた。


「何をブツブツ言っているか知らんが、航空券出しておけ」

「あ、はい」

 溜め息をつかれて、目を細める。

 なんで、こんな事まで指示されているんだ?


「宇津木さん。私を子供扱いしていませんか?」

「いや?」

 いやいや、してるでしょ。

「私、宇津木さんと2・3しか離れてないと思うんですが」

「25?」

「26です」

 宇津木さんは腕を組み、首を傾げた。

「俺と一つ違いにしては……やることなすこと、全てがガキだな」

「…………」



 ウキ───!!



 思わずつかみ掛かりそうになったけど、


 ガッシリ頭を押さえ付けられて、虚しく両腕は空を切る。


「悪いが、そろそろゲートが開くから向かうぞ」

 片手でスケジュール帳を見ながら、スタスタと歩み去り……


 ……放置されても困ります。


 回りの痛い視線を感じながら、出来るだけこそこそと宇津木さんを追った。

「置いてかないで下さいよ!」

「今のはお前が悪い」

「え! いつも自分が悪いってわかってるんですか!?」


 今度は前方を見ながら、パシンと軽く叩かれた。

 そうポカスカ人の頭を叩かないでくれ。

「いつも思うが、お前は礼儀がなってないな」

 あんたに使う礼儀なんて、これっぽっちもないわ!
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