シャッターの向こう側。
世界樹……もしくはロマンチスト?
******
「おはよう。早いな」
目の前に座る宇津木さんを眺めながら、今日はクロワッサンをぱくつく。
「朝陽を撮ってみたんです」
「ふぅん? いい絵は撮れそうか?」
「どうでしょうね。出来上がるまでは言いたくありませんよ」
宇津木さんはニヤリと笑ってコーヒーを飲む。
あれからじっくりと書類を読んだ。
このテーマパークのコンセプトは北欧神話。
ユグドラシルとは、その神話の中に登場する〝世界〟を体現する大きな樹で〝世界樹〟とも〝宇宙の樹〟とも呼ばれている。
たぶん、この高層ホテル自体が、それを現してるんだろう。
それが解ってみると、だいたいが掴めてきた。
ホテルの内装はチラホラと楽園チックだったし、高層階になればなるだけ幻想的な内装になっていたし。
東の地区の建物が、北欧建築なのも納得だった。
まぁ、細部を神話に合わせているかと言うと……どうもそうじゃないみたいなので、厳密に言うと、イメージだけ掴めばいいのかも知れない。
夢の世界……と言う訳だ。
「そう言えばお前、昨日は現像しに行くとか言ってなかったか?」
宇津木さんが、朝刊を広げながら小さく呟いた。
……あんたは一家のお父さんか。
「時間がなくなったからやめました。15時過ぎに現像しに行きますから、それまで待ってください」
ちらっと顔を上げた宇津木さんが、眉をしかめて首を傾げる。
「お前。顔が変だぞ」
それはどういう意味だっ!!
「青いと言うより、土色? 不気味だ」
……けなしてるのか?
……それとも心配してるのか?
「夜中を使ってホテル内部を撮りましたから、ちょっと寝てないんです」
人が入ったらなんか嫌だったから、居なくなる時間を待っていたんだけど……
雨降りだったせいか、プレオープンで少ないとは思っても、常に人の影があった。
おかげで、最上階のVIPルームやウェディングスィートルームまで見せてもらえたけど。
けっこう眠い。
「……何もそこまでしろとは言ってないんだが」
淡々と呟かれる言葉に、にんまり笑う。
「私がやりたくてやった事ですから。お気になさらずに? カメラさえ構えてれば、たいてい眠くはないですし」
「おはよう。早いな」
目の前に座る宇津木さんを眺めながら、今日はクロワッサンをぱくつく。
「朝陽を撮ってみたんです」
「ふぅん? いい絵は撮れそうか?」
「どうでしょうね。出来上がるまでは言いたくありませんよ」
宇津木さんはニヤリと笑ってコーヒーを飲む。
あれからじっくりと書類を読んだ。
このテーマパークのコンセプトは北欧神話。
ユグドラシルとは、その神話の中に登場する〝世界〟を体現する大きな樹で〝世界樹〟とも〝宇宙の樹〟とも呼ばれている。
たぶん、この高層ホテル自体が、それを現してるんだろう。
それが解ってみると、だいたいが掴めてきた。
ホテルの内装はチラホラと楽園チックだったし、高層階になればなるだけ幻想的な内装になっていたし。
東の地区の建物が、北欧建築なのも納得だった。
まぁ、細部を神話に合わせているかと言うと……どうもそうじゃないみたいなので、厳密に言うと、イメージだけ掴めばいいのかも知れない。
夢の世界……と言う訳だ。
「そう言えばお前、昨日は現像しに行くとか言ってなかったか?」
宇津木さんが、朝刊を広げながら小さく呟いた。
……あんたは一家のお父さんか。
「時間がなくなったからやめました。15時過ぎに現像しに行きますから、それまで待ってください」
ちらっと顔を上げた宇津木さんが、眉をしかめて首を傾げる。
「お前。顔が変だぞ」
それはどういう意味だっ!!
「青いと言うより、土色? 不気味だ」
……けなしてるのか?
……それとも心配してるのか?
「夜中を使ってホテル内部を撮りましたから、ちょっと寝てないんです」
人が入ったらなんか嫌だったから、居なくなる時間を待っていたんだけど……
雨降りだったせいか、プレオープンで少ないとは思っても、常に人の影があった。
おかげで、最上階のVIPルームやウェディングスィートルームまで見せてもらえたけど。
けっこう眠い。
「……何もそこまでしろとは言ってないんだが」
淡々と呟かれる言葉に、にんまり笑う。
「私がやりたくてやった事ですから。お気になさらずに? カメラさえ構えてれば、たいてい眠くはないですし」