シャッターの向こう側。
風の日……もしくはリミット
******
「雨が止んだと思ったらぁ~、今度は強風困ったな♪」
カメラをしっかりと固定しながら、ホテルの屋上を開放してもらって、なかなかの高さから眼下を望む。
正直、くらくらしちゃうくらいに高い。
「……全然困ってないでしょう。神崎ちゃん」
鼻歌まじりの私に坂口さんが苦笑した。
「困りますよ~。安定悪いもの」
気を抜いたら本当に吹っ飛ばされそうだし、とりあえず髪は一つにまとめてるだけなので、あっちこっちに飛んで行く。
櫛を通そうとしても、きっと通らないだろう。
……と、考えて、
私、余裕じゃんと納得。
「案外困ってないかもしれませんね」
「どっちさ」
どっちなんでしょう?
まぁ、どっちにしろ写真には関係ない。
風が強いくらいでいい天気ではあるし。
大自然の雄大さを撮るには、風の日の方が実は好きな画が撮れる。
静かな木々の様子っていうのもいいんだけど、ダイナミックさから言えばやっぱり風が出てた方がいいかな。
これだけ敷地面積が大きいんだし、どうせなら勢いが欲しかったから打って付け。
見下ろす南の森。
背の高い木々の葉が揺れる様は見えないけど、全体が流されている様子は見える。
数枚シャッターを切って、ファインダーから顔を上げた。
ちょっとレンズを変えてみよう。
望遠用のレンズから、魚眼レンズに換えて、再度カメラを構える。
イメージは水泡かな。
うまくいけばいいけれど……
その前に、出来上がった写真がそういう風に使われるかもわからないけどね~。
なんて、考えながら気が済むまで撮り終わると、荷物を抱えて坂口さんがいる辺りまで戻った。
「果敢だね~」
「何がですか?」
首を傾げると、坂口さんは眉を上げ、同時に肩を竦めてみせた。
「髪を振り乱してまで、仕事してる女性は初めて見たよ」
……乱れ過ぎでしたか?
「私が、いや~ん。風が強いぃ~。髪が乱れちゃう~……なんてやってたら、仕事にならないじゃないですか」
ぶりっ子ポーズで可愛らしく言うと、坂口さんも頷いた。
「そうだよね~。考えてみれば、そんな女性とはあまり組みたくないけど……」
「私も同感です」
深く頷いて、屋上を後にする。
「雨が止んだと思ったらぁ~、今度は強風困ったな♪」
カメラをしっかりと固定しながら、ホテルの屋上を開放してもらって、なかなかの高さから眼下を望む。
正直、くらくらしちゃうくらいに高い。
「……全然困ってないでしょう。神崎ちゃん」
鼻歌まじりの私に坂口さんが苦笑した。
「困りますよ~。安定悪いもの」
気を抜いたら本当に吹っ飛ばされそうだし、とりあえず髪は一つにまとめてるだけなので、あっちこっちに飛んで行く。
櫛を通そうとしても、きっと通らないだろう。
……と、考えて、
私、余裕じゃんと納得。
「案外困ってないかもしれませんね」
「どっちさ」
どっちなんでしょう?
まぁ、どっちにしろ写真には関係ない。
風が強いくらいでいい天気ではあるし。
大自然の雄大さを撮るには、風の日の方が実は好きな画が撮れる。
静かな木々の様子っていうのもいいんだけど、ダイナミックさから言えばやっぱり風が出てた方がいいかな。
これだけ敷地面積が大きいんだし、どうせなら勢いが欲しかったから打って付け。
見下ろす南の森。
背の高い木々の葉が揺れる様は見えないけど、全体が流されている様子は見える。
数枚シャッターを切って、ファインダーから顔を上げた。
ちょっとレンズを変えてみよう。
望遠用のレンズから、魚眼レンズに換えて、再度カメラを構える。
イメージは水泡かな。
うまくいけばいいけれど……
その前に、出来上がった写真がそういう風に使われるかもわからないけどね~。
なんて、考えながら気が済むまで撮り終わると、荷物を抱えて坂口さんがいる辺りまで戻った。
「果敢だね~」
「何がですか?」
首を傾げると、坂口さんは眉を上げ、同時に肩を竦めてみせた。
「髪を振り乱してまで、仕事してる女性は初めて見たよ」
……乱れ過ぎでしたか?
「私が、いや~ん。風が強いぃ~。髪が乱れちゃう~……なんてやってたら、仕事にならないじゃないですか」
ぶりっ子ポーズで可愛らしく言うと、坂口さんも頷いた。
「そうだよね~。考えてみれば、そんな女性とはあまり組みたくないけど……」
「私も同感です」
深く頷いて、屋上を後にする。