シャッターの向こう側。

クロスロード……もしくは単なる喧嘩

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 忙しい日と言うものは怒涛の如く過ぎていくもので、振りかえってみれば後悔なんて後の祭りさ☆

 ……なんて、現実逃避しても始まらないんだけど。

 走りまわって写真を撮りまくり、パレードにはギリギリセーフで走り込んだ。

 ちょいとお神輿……なのかな? キラキラ電飾の上の妖精さんにフラッシュ攻撃をかましながら、それでもめげずに高橋写真館に向かった。

 妖精さんは、あの電飾中で暑くはないんだろうかと思いつつ。


 車は借りている暇はなかったからタクシーで。


 ……だから、片道2000円は痛いって。

 ブツブツ言っても始まらないけど、どうしても今日現像したかったし。

 そして例の如く、宇津木さんの部屋をノックした。



「……お前は、人の予定を聞かん奴だな」

 疲れたように言われて、にっこりと微笑む。

「たいして聞いてないですから」

「聞け!」

「部屋にいる所をみると、暇そうじゃないですか」

「あのな。今何時だと思っている?」

「22時でしょうかね?」

 小首を傾げると、宇津木さんは力なくうなだれた。

「寝ようとしてるとは思わない訳か?」

「え? ホントにお祖父ちゃんですか!?」

 こんな早い時間に寝ちゃうなんて、20代らしくないじゃないか。

 10代の頃とは比べようもないけど、街中なら飲みに行くぜレッツゴー!! だわよ?


 そういや、佐和子と最近飲みに行ってないなぁ。


 無言でパシンと叩かれる。


「……何故叩かれなければ…?」

 叩かれたおでこをさすりながら、上目使いに宇津木さんを見上げた。

「そんなマイルール持ち出されても、俺は困る」

 ……口に出して言ってたかな?

「だいだい俺が爺さんならお前も婆さんだろうが。余程俺を爺さんにしたいんだな」

 そう言う訳でもないんだけど。

 仕方ないな……という調子の宇津木さんに部屋に入れてもらいながら、ソファーでくつろいでいた坂口さんを見つけた。

「こんばんは、神崎ちゃん」

 ヒラヒラ手を振る坂口さんに、私も軽く手を上げる。

「いらしたんですか」

「うん。軽く打ち合わせ」

「あら。それはお邪魔を」

「そんなこと思ってないくせに」

 背後の低い声は無視しよう。

 だいたい、打ち合わせなら打ち合わせと言えばいい。
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