シャッターの向こう側。
「うひゃっ!! 神崎ちゃん! 何でこんな所でお経なの!?」
「ある意味、ムード満点だな」
「落ち着いてないで、宇津木も何とかしろっ!! 目が虚ろで般若○経なんてっ!!」
「面白いじゃないか」
「面白くなんかないっ!! 恐すぎだろ!!」
……心頭滅っすれば、火もまた涼しい。
一心不乱にお経を唱えつつ、周りの騒ぎには耳を傾けない。
うん。
なかなかイケるじゃないの。
今後もこうしよう。
明るい光が見え、ドラキュラの格好をした職員さんに出迎えられる。
「お疲れ様です~」
やたらににこやかなドラキュラだなぁ、と思いつつゴンドラを降り、なかなか降りてこない二人を振り返った。
「何をしてるんですか。置いていっちゃいますよ!!」
宇津木さんは目を細め、それから小さく苦笑した。
「お前の切り替えの早さには脱帽する」
「ありがとうございます」
「神崎ちゃん。褒めてないから」
どこかヨレヨレの坂口さんが降りて来て、開けたジャケットを直した。
「どうかしたんですか?」
「え!? あ……うん。取り乱したんだよ」
男性でも取り乱す事もあるんだ。
何となく感心しながら〝恐怖の館〟を後にすると、念願のジェットコースターに彼らを引っ張り出した。
5回目で宇津木さんが手を振り、10回目で坂口さんがギブアップ。
一人で乗るのもつまらないので、大人しく宇津木さんの推薦する観覧車に乗った。
……てか、何て言うか?
さっきから宇津木さんは真剣に外を眺めているし、坂口さんはその隣で困り顔。
なんで、こんなに無言なんだ?
「あのぅ……観覧車って、こんなに気まずい乗り物でしたか?」
坂口さんは私の言葉に困った笑いをして見せ、宇津木さんは見ていた窓の外から視線を戻して来た。
「知らん」
知らん……って、ほとんどあんたのせいでしょうが!!
そういうのは自己チューと言うのよ!
そりゃそうだよね、何て言ったって宇津木さんだもんね!
……まぁ、私もジェットコースターに付き合わせたから、人の事は言えないか。
「ある意味、ムード満点だな」
「落ち着いてないで、宇津木も何とかしろっ!! 目が虚ろで般若○経なんてっ!!」
「面白いじゃないか」
「面白くなんかないっ!! 恐すぎだろ!!」
……心頭滅っすれば、火もまた涼しい。
一心不乱にお経を唱えつつ、周りの騒ぎには耳を傾けない。
うん。
なかなかイケるじゃないの。
今後もこうしよう。
明るい光が見え、ドラキュラの格好をした職員さんに出迎えられる。
「お疲れ様です~」
やたらににこやかなドラキュラだなぁ、と思いつつゴンドラを降り、なかなか降りてこない二人を振り返った。
「何をしてるんですか。置いていっちゃいますよ!!」
宇津木さんは目を細め、それから小さく苦笑した。
「お前の切り替えの早さには脱帽する」
「ありがとうございます」
「神崎ちゃん。褒めてないから」
どこかヨレヨレの坂口さんが降りて来て、開けたジャケットを直した。
「どうかしたんですか?」
「え!? あ……うん。取り乱したんだよ」
男性でも取り乱す事もあるんだ。
何となく感心しながら〝恐怖の館〟を後にすると、念願のジェットコースターに彼らを引っ張り出した。
5回目で宇津木さんが手を振り、10回目で坂口さんがギブアップ。
一人で乗るのもつまらないので、大人しく宇津木さんの推薦する観覧車に乗った。
……てか、何て言うか?
さっきから宇津木さんは真剣に外を眺めているし、坂口さんはその隣で困り顔。
なんで、こんなに無言なんだ?
「あのぅ……観覧車って、こんなに気まずい乗り物でしたか?」
坂口さんは私の言葉に困った笑いをして見せ、宇津木さんは見ていた窓の外から視線を戻して来た。
「知らん」
知らん……って、ほとんどあんたのせいでしょうが!!
そういうのは自己チューと言うのよ!
そりゃそうだよね、何て言ったって宇津木さんだもんね!
……まぁ、私もジェットコースターに付き合わせたから、人の事は言えないか。